派生車なぜ激減? クラウンやスカイラインがワゴンを設定しなくなった理由とは

かつては、さまざまなモデルで派生車といわれる複数のボディタイプが設定されていました。しかし、最近ではその数が徐々に減ってきています。なぜ、派生車を設定するモデルが減少しているのでしょうか。

かつてはクラウンワゴンがあった? 変化する派生車

 かつての国産車には、セダン、クーペ、ワゴン、バン、ハッチバックなどいくつかの複数のボディタイプを設定していました。

 とくに、1960年代から1980年代の国産モデルではその傾向がありましたが、最近の国内市場では徐々に減少傾向にあります。なぜ、複数のボディタイプを設定する販売車は少なくなっているのでしょうか。

通称「くじら」といわれた4代目「クラウン カスタム」
通称「くじら」といわれた4代目「クラウン カスタム」

 かつては、各メーカーの主流モデルにさまざまな派生車が設定されていました。

 トヨタ「クラウン」や「マークII(マークX)」、日産「スカイライン」、「セドリック/グロリア」、「セフィーロ」、ホンダ「アコード」など主流のモデルには、必ずといっていいほどステーションワゴンをラインナップ。

 現在ではクラウンやアコードはセダンのみ、2019年で生産終了となったマークXも最終モデルではセダンのみのラインナップとなっていました。

 2020年9月時点でひとつのモデルで複数のボディタイプを設定しているのは、「カローラ(セダン、ワゴン、ハッチバック)」、「プリウス(ハッチバック、ワゴン)」、マツダ「マツダ3(セダン、ハッチバック)」、「マツダ6(セダン、ワゴン)」、スバル「インプレッサ(セダン、ワゴン)」と、まだまだ多いように見えます。

 しかし、直近ではシビックでセダンが廃止され、スバル「レガシィ」は2014年のフルモデルチェンジで、かつて大ヒットしたステーションワゴンを廃止するなど、ボディタイプの複数ラインナップに変化が起きています。

 これらの複数ボディタイプはなぜ減りつつあるのでしょうか。国産メーカー関係者は次のように話します。

「国内市場で派生車が減っていのにはいくつかの要因があると思います。まず、1990年から2020年の30年間でクルマの流行が変化し続けてきました。

 RVブーム、ステーションワゴンブーム、ミニバンブームという流れが前半の15年で、後半では軽自動車やコンパクトカー、そして現在も人気が高いSUVという風にほかの国や地域よりも目まぐるしく変化していると思います。

 そのため、1980年代から1990年代のはじめはセダン、クーペやワゴンが一般的だったこともあり、その3つで構成される派生車はセダンをベースとすることで展開でき、多くのラインナップを揃えることが可能でしたが、軽自動車やコンパクトカー、ミニバン、SUVはボディサイズが異なるため独立した車種となっています。

 もうひとつの要因としては、クルマのグローバル化とユーザーニーズの細分化です。グローバル化することで、ボディサイズが大型化されるとともに、それぞれの地域に適した車種やボディを投入することになっていきました。 

 また、グローバル化と同時に国内市場では、セダンとワゴンの販売が落ち込んでいきます。こうしたことが派生車を減少させる背景にあるのです。

 しかし、最近ではコスト削減という側面もありますが、新しいプラットフォームを投入することで、シャシを共通したモデルが多くなってきましたが、それぞれ異なる車名が付いていることもあり、派生車とは呼んでいません。

 このように国内市場の流行やグローバル化、ニーズの細分化でかつてのような派生車は減ってきていますが、現在もプラットフォームの共通化で、複数のモデル展開は続いています」

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