「マツダは他とは違う!」 激戦SUV市場で個性発揮する「CX-30」の魅了とは

3つのパワートレイン。選ぶポイントとは

 さて、それでは3つのパワートレインをどう選び分けたらいいでしょうか。

 間違いないのは、長距離を走ることが多いユーザーならディーゼルのSKYACTIV-Dを選ぶべきということです。

 燃費が良いうえに燃料である軽油の価格も安いので、燃料代が安く収まります。また、アイドリング時にはやや耳障りに感じるエンジンも、市街地でストップ&ゴーを繰り返すのではなく高速道路や郊外路を走り続けるのであればまったく気になりません。

 やや高い車両価格も走行距離が延びれば燃料代で逆転できるので、よりメリットが光ります。

 ガソリンのSKYACTIV-Gは、リーズナブルにCX-30を手に入れたい人や、街乗りがメインであまり走行距離が伸びない人にマッチしています。何の不満もなく、SUVライフが送れるでしょう。

 難しいのはSKYACTIV-Xです。たしかにエンジンのフィーリングは通常のガソリンエンジンよりも優れているし、実燃費もそれより15%程度いい感触。

 優れたパワーユニットであることは認めます。しかしながら、ガソリンのSKYACTIV-Gに対して約60万円高い価格は悩ましいところ。

 その価格に見合う、わかりやすい見返りを期待するのは難しいというのが正直な印象です。

未舗装路も問題なく走行。コンパクトといったもSUV。最低地上高は175mm
未舗装路も問題なく走行。コンパクトといったもSUV。最低地上高は175mm

 では、SKYACTIV-Xを買うべきは、どんなユーザーでしょうか。

 それは、食べ物に例えるとお寿司や鰻で「特上」をオーダーするのに似ていると思います。

 コストパフォーマンスに優れる「上」ではなく、さらなる金額を払ってでも、よりおいしいもの、より満足感の高いものをセレクトする心意気。数字のようなわかりやすい基準で評価してはいけないのです。

 それはいい換えれば、アクセル操作に対するフィーリングで味の違いを理解できる「玄人向け」といっていいでしょう。そう考えるとSKYACTIV-Xの立ち位置がわかりやすいかもしれません。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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