電子キー普及もいまだに「キーとじ込み」年間15万件発生の意外な理由とは
キーとじ込みを防ぐために出来ることは
2020年8月19日に多くのメディアが報道した「キーとじ込み」についても、まさに「子どもがおもちゃ代わりに遊んで…」のパターンで発生しました。
1歳の孫に「カギが欲しい」とせがまれた祖母が、孫をクルマに乗せる前にカギを渡してしまったことが理由です。
カギを持ったままの1歳男児を後部座席に座らせてドアを閉め、祖母が運転席に向かうまでの数秒間に孫がカギを触ってドアロックボタンを押して、すべてのドアをロックさせてしまいました。
車内の温度が急速に上がっていくなか、熱中症になることを危惧した祖母は孫が通う保育園から農機具の「くわ」を借りて、クルマの窓をたたき割って孫を救出しました。
子どもにせがまれたからといって、おもちゃ代わりにドア開閉の操作ができるカギを渡したことには驚きますが、車内からの操作でドアロックができてしまうことも意外でした。
この祖母が乗っていたクルマはダイハツ「ムーヴ」でしたが、車内のキーボタン操作でドアロックが可能なのでしょうか。
ダイハツ工業株式会社 広報・渉外室 広報グループに聞いたところ、次のように説明します。
「こちらのムーヴもそうですが、最新のダイハツ車でも『キーレス』『キーフリー』ともに、車内からカギについているボタンを押してのロックが可能です。
車内にのみカギがあると車外のリクエストスウィッチからはロックできませんが、車内からのキーボタン操作でロックは可能です。
また、スマートキーがふたつあり、ひとつは車内でもうひとつを車外からロックする場合は、ロックされます」
調べてみたところ、ムーヴ以外にも車内からのロックに制限を設けていないメーカーや車種はいくつかありました。これは、車内で休憩するときや仮眠するときなど、カギを持って後部座席からロックしたいという状況に対応するものと思われます。
スマートキーでドアの開閉をおこなうクルマのなかには「キーとじ込み防止装置」を備えているクルマも多く、このようなクルマはスマートキーが車内の作動範囲内に置いてあると、ロックができない仕様になっています。
「カギのボタンを押して車内からロックが可能か?」については、メーカーや車種によってさまざまな仕様や設定があるため、それぞれの取り扱い説明書で確認するか、メーカーのお客様相談室に尋ねることが確実です。
防止策としてはキーを常に身に着けて、車内やトランクにキーを置かないことはもちろんですが、スペアキーをカバンのなかに入れて持ち歩くこともおすすめします。
なお、かつてはクルマの底部にスペアキーを貼り付ける人もいたようですが、防犯上のリスクを考えると絶対にNGです。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
「画像】意外と知らない! キーが電池切れしたときの解決方法(10枚)」に肝心の解決策が載って無い。
ちゃんと編集は確認したのか?