30年前の車なのに今もカリスマ的人気 R32スカイラインGT-Rとは?

JTCでは29戦29勝と4シーズン無敵を誇った

 最新の技術を駆使して設計されたRB26DETT型DOHCツインターボは、280ps・36.0kgmを絞り出す。

 このエンジンは8000rpmまでストレスなく回り、レスポンスもレーシングエンジンのようにシャープで滑らかだ。

名機「RB26DETT」型2.6リッターDOHCツインターボは、280ps・36.0kgmを発生
名機「RB26DETT」型2.6リッターDOHCツインターボは、280ps・36.0kgmを発生

 アクセルを踏み込むと猛々しい加速を見せ、排気サウンドも耳に心地よい。最高出力の自主規制が280psに据え置かれたほど高性能エンジンだったのである。この当時、世界を見回しても、これほどパワフルで精緻な量産エンジンは見当たらなかった。

 駆動方式も進歩的だ。スカイラインとしては初めて4WD方式を採用し、異次元のコーナリングを見せつけている。アテーサE-TSと名付けられた電子制御トルクスプリット4WDを採用し、足元はV規格の225/50R16Vタイヤに鍛造アルミホイールの組み合わせだった。

 ブレーキも4輪にベンチレーテッドディスクを配し、フロントは4ポット式だ。時代に先駆けて4センサー3チャネル方式の4輪アンチロックブレーキも装備する。

 FR車の軽やかなハンドリングと4WDならではの優れたトラクション能力を高いレベルで両立させ、公道でもサーキットでも群を抜く速さを披露したのがBNR32型GT-Rだ。

 デビュー時はプッシュアンダーが強く、クラッチやブレーキもサーキットでは酷使に耐えられなかった。が、後期型では改良され、アテーサET-Sの味付けも変えている。また、225/50R17サイズのタイヤの採用により、さらに洗練されたハンドリングを手に入れた。

※ ※ ※

 BNR32型GT-Rのすごさは、グループAレースでの戦績を見ればわかってもらえるだろう。

 全日本ツーリングカー選手権では、1990年の開幕戦から1993年の最終戦まで、29戦29勝と、無敵を誇っている。

1990年全日本ツーリングカー選手権でシリーズチャンピオンに輝いたカルソニック・スカイライン(星野一義/鈴木利男組)。カルソニックチームは1993年にも星野一義/景山正彦のコンビでチャンピオンを獲得している。
1990年全日本ツーリングカー選手権でシリーズチャンピオンに輝いたカルソニック・スカイライン(星野一義/鈴木利男組)。カルソニックチームは1993年にも星野一義/景山正彦のコンビでチャンピオンを獲得している。

 また、改造範囲がきわめて狭く、市販車に限りなく近いグループNのカテゴリーでも破竹の快進撃を続けた。1990年のスパ・フランコルシャン24時間レースでは、グループN仕様のスカイラインGT-Rが表彰台を独占。ヨーロッパのレース関係者に衝撃を与えている。その後も1991年、1992年と3連覇の偉業を達成している。

 また、1991年のスパ・フランコルシャン24時間レースには、グループA仕様のスカイラインGT-Rを持ち込んだ。この難コースでたやすくポールポジションを奪い、決勝レースでも2位以下に20周以上の差をつけて優勝している。

 あまりの強さに、1992年からはレギュレーションが変更された。それほどスカイラインGT-Rは強かったのである。

 BNR32型スカイラインGT-Rは日本専用モデルだったが、プレイステーションなどのゲームにも登場したことにより、世界中に名を知られ、ファンを増やしていった。

 登場から30年経ったいまでも、BNR32型スカイラインGT-Rの中古車を探しているファンは後を絶たない。それほど偉大な存在なのである。

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1件のコメント

  1. 10年程前まで乗っていました。
    未だに魅力的で優れた車です、それから数台乗り換えましたが、速さはまだまだ一線級ですね。
    走り出しがやや重く、速度が乗るにつれて軽くなっていく走行感覚は類をみないもので、巡航中の「芯を感じる」回転感覚も格別です。
    反面、日産エンジン特有の官能性を感じない吹け上がりと高速からだと全く効かないブレーキには、当時の国産を感じました。
    特にブレーキは問題で、街乗りでは普通に効きます(特に効く訳ではない)がローターが熱を持ったり、負担がかかると途端に滑り出す感覚は信頼に足らないものでした。
    車重がありますのでそのせいでしょうが、あまりにお粗末だったことを、よく覚えています。

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