高速道路の風景変わる? カルガモ走行2021年実用化へ トラック隊列走行は何が凄い?
乗用車での「隊列走行」は実現なるか?
では、実際にトラック隊列走行が一般化した場合、乗用車のドライバーは運転中に、どのような変化を感じるでしょうか。
例えば、トラックを追い越す場合、複数台を一気に追い越せることで、追い越しの回数が減るはずです。
また、先を急ぐトラックによるあおり運転は減少し、法定速度を守るようになり、乗用車とトラックが高速道路で共存しやすくなると思います。
結果的に、乗用車のドライバーも長距離運転での精神的な負担がかなり減るものと考えられます。
むろん、乗用車でもあおり運転は違法であり厳禁ですし、法定速度順守は必要です。
では、乗用車の隊列走行は可能なのでしょうか。
2020年8月の現時点でも、量産車のアクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)や、レーン・キーピング・アシスト(LKA)の標準装備が進んでおり、各社での性能差はありますが、有人での隊列走行は実現しているといえます。
これを、さらにもう一段上げて、電子けん引される複数の追従車が無人、またはドライバーがシートを深く倒して就寝するなどはどうでしょうか。
それには、自動運転レベル3と呼ばれる、運転の主体がクルマのシステムに移管する状態が前提です。
その上で、トラック隊列走行と同じく、車車間での通信や、道路インフラ側と車との間の通信が必要になります。この領域の技術も徐々にですが、自動車メーカー間での調整が進んでいると考えられます。
また、スバルが新型「レヴォーグ」で採用したアイサイトXのように、高精度三次元地図とGPSなどの衛星測位システムを使った車両の位置情報も加味することで、乗用車隊列走行の安全に対する冗長性が加わるはずです。
国や自動車メーカー各社の動きを見ていると、2025年頃には、トラックも乗用車も、夜間などの時間限定や、走行区域を限定するなどのステップを踏みながら、隊列走行の有人化から無人化へと移行が始まるのかもしれません。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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