20年落ちでも新車価格のアキュラ「NSX-T」は買いか!?
走行距離3万kmのアキュラNSX-Tの落札価格は?
さて、今回紹介するNSXは、RM Sotheby’sのオークションに登場した北米仕様車アキュラ「NSX-T」である。
2000年式で、その年の65台目とシリアルナンバーがサイドシルに刻まれたこのモデルは、モナコブルーのボディカラーと、ブラックレザーの内装である。
●左ハンドルの6速MTもあり?
2000年式ということは、型式はNA2。エンジンはC30A型を3.2リッター化したC32B型が搭載され、トランスミッションは6速MTとなっている。
当時の日本での新車価格は、消費税別で960万円強であった。この個体は小傷こそあるが、ボディのアンダーコートも美しく、内装のヤレも少なく、ゴム系部品にも劣化が見られないという極上の状態。
走行距離は1万8491マイル(約2万95800km)と少ない。これまで所有したオーナーは2名ということも含めて、落札価格は6万ドル−7万ドル(邦貨換算約635万円−740万円)と予想されていた。
しかしいざオークションが始まってみると、最終落札価格は9万3000ドル(邦貨換算約985万円)まで跳ね上がっている。そこには、いま手に入れておかないと、出品車両ほど状態のいいNSXは2度と出てこないではないか、という心理が働いたのではないかと思われる。
ただ、新車価格を考慮すると、この9万3000ドルという落札価格は、それほど高額でもないともいえる。これがもし、アキュラNSXではなく、新車登録から25年以上経過していたホンダNSXであった場合には、さらに高額な落札となった可能性がないわけではない。
というのもアメリカでは、JDM(ジャパン・ドメスティック・マーケット)人気が続いているからだ。それまでは現地のエイジアン、あるいはチカーノの一部で人気だったJDMも、映画『ワイルドスピード』によってメジャーとなり、25年ルール(登録から25年以上前のクルマはクラシックカーとして扱われ、排ガス試験の免除などのほか、右ハンドルのままでアメリカ国内を走れる)が適用される「80スープラ」や「R32型スカイラインGT−R」、「S13シルビア」、「FD3S RX-7」などが高額で取り引きされている。
そのため、この2000年式NSX−Tがもし日本国内仕様車(右ハンドル)だった場合には、25年ルールが適用される2025年まで所有していれば、大幅に価値が高まる可能性があったかもしれない。
自分で運転して楽しむ、という人にとっては25年ルール以前の右ハンドルのクルマは、公には乗ることができないために価値が低くなるが、投機目的でクルマを買う人にとってJDMで程度のいいクルマは、狙い目となるのだ。
乗るためにクルマを買うのか、あるいは投機目的でクルマを買うのか。そのどちらが正しいのか、という判断は無意味だ。間違いなくいえることは、販売後20年経った、極上のアキュラNSX-Tを、スポーツカーがなくなりつつあるいま、新車価格と同等の値段で買えるのなら、それは間違いなくありだ、ということだろう。
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