軽ナンバー1のダイハツに危機感!? 主力の「タント」の販売が伸び悩む理由とは
タントのライバルは他社ではなく身内だった!?
ユーザーがタントに不満を持った場合、他メーカーのN-BOXやスペーシアを購入するのでしょうか。
「軽自動車を初めて買うお客さまは、値引きなどの条件も含めてライバル車を選ぶことがありますが、いままで付き合いのあるお客さまは離れません。タントが好みに合わない場合、『ムーヴキャンバス』を選ぶことも多いです」(ダイハツの販売店スタッフ)
ムーヴキャンバスは、タントに比べて全高が100mm低い軽自動車ですが、後席のドアはタントと同様にスライド式です。全高が1700mm以下の軽自動車では、唯一スライドドアを備えています。
フロントマスクは柔和なデザインで、リアゲートを少し寝かせるなど外観も上質。ルーフとボディの下側が同色のオシャレなストライプスカラーも用意しました。
ムーヴキャンバスは堅調に売れており、「ムーヴ」の販売台数の約半数を占めます。2020年1月から7月における1か月の平均届け出台数は、タントが約1万800台、ムーヴキャンバスは約4200台です。
販売店のコメントにもあった通り、タントの質感などに物足りなさを感じたユーザーが、ムーヴキャンバスに乗り替えることもあるわけです。
2020年6月にダイハツは「タフト」も発売しました。販売店によると「子育てを終えたお客さまが、ファミリー向けのタントからSUV感覚のタフトに乗り替えることもあります」といいます。
このようにタントの販売伸び悩みには、タント自体の商品力低下に加えて、ほかのダイハツ車の売れ行きも影響しています。
ダイハツに限らず、軽自動車は全長や全幅、エンジン排気量が全車共通です。しかも薄利多売の商品なので、複数の車種を用意します。
全高が1600mmを超える前輪駆動の軽自動車だけでも、ダイハツにはタント、ムーヴキャンバス、ムーヴ、タフト、「ウェイク」、「キャスト」があり、同じメーカーの軽自動車同士が競争する面もあります。
従ってダイハツから魅力的な軽自動車が登場すると、タントの商品力に問題がないのに、売れ行きを低下させることもあります。
それでもタントはダイハツの主力車種なので、販売の伸び悩みはダイハツ車全体の勢いに影響を与えます。
いまのダイハツは、軽自動車の販売ナンバーワンメーカーとされますが、2020年1月から7月の販売累計は、ダイハツが29万4073台で、スズキは28万9746台でした。
ダイハツが1位ですが、スズキとの差は4327台に縮まり、1年前の2019年1月から7月の差が2万4011台だったことに比べると僅差です。今後の販売動向次第で、年末までに1位がスズキに奪われることがあるかもしれません。
タントの売れ行きが特別仕様車の追加程度では持ち直さないことが分かったので、2020年の秋以降、デザイン面まで踏み込んだ大幅な改良を実施する可能性があります。
スズキの「スペーシアギア」のようなSUV風の派生モデルを用意することも考えられます。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
日本の軽規格ってマジで罪だよな、ウイスキーをコップに目一杯注いで水を一滴垂らして表面張力で溢れないから水割りって言うようなもんだろ?
タント乗ってるけど、クルーズコントロールがターボ車にしかないから買ったけど燃費悪い