なぜ多い? 車CMロケ地に山口県 地域住民の生活道路がクルマのロケ撮影に好都合な訳
クルマの撮影に適した条件が山口県にはそろっている
山口県内で人気のロケ地がもう一か所あります。山口県宇部市の山口宇部空港至近にある「宇部スカイロード(宇部湾岸道路)」です。

宇部フィルムコミッションによると、クルマ関係ではこれまでに、ダイハツ「キャストスポーツ」、日産「セレナ」「NV350キャラバン」などのCM撮影がおこなわれてきました。
「宇部スカイロードは全長約6kmの高架化された高規格道路の県道で通行料は無料で、全線にわたって通行規制が可能です。全線高架なので周囲から走っているクルマが見えることもありません」(宇部フィルムコミッション)
山口宇部空港からすぐの場所に位置しており、首都圏から訪れる撮影スタッフの移動に好都合な場所だといえます。
山口県内で自動車CMのロケーション撮影が増えている理由をまとめると、以下のようです。
・ドライブに出かけたくなる美しく印象的な風景が点在している
・海(日本海・瀬戸内海)や橋(角島大橋・関門橋・宇部湾岸道路)、草原(カルスト台地)の他に、古い町並みの城下町(萩・山口・下関)などバリエーションが多い
・道路を完全にクローズできて使用許可が取りやすい
・人やクルマの往来が少なく撮影車が見えにくい
・撮影機材を置ける場所や撮影スタッフが待機できる場所が豊富にある
・CM出演の俳優や撮影スタッフが宿泊できる場所が近くにある
・各地にフィルムコミッションがあり撮影協力が得られやすい
・撮影場所までのアクセスが容易で安全
さらに、都内のCM制作会社の話では、「CM撮影用に場所を借りる場合、1日数万円から数十万円の使用料が必要になることがありますが、山口県の撮影スポットは県の道路など公共の施設が多いので撮影場所として使用するための費用はほとんどかかりません」とのこと。
前出の下関市観光政策課は、「角島大橋の撮影料として下関市にお金が入ることはなく、道路使用許可申請のための手数料(山口県は一律2230円)が管轄の警察署(小串警察署)に入るだけです。
また、救急車両や路線バス、鮮魚などの運搬車両などが通行し、う回路がないため、道路使用許可申請時は角島の地域住民の同意が必要となります」といいます。
撮影する側にとって、予算的にも山口県での撮影は好都合だといえますが、撮影の依頼はすべて受け入れるわけではなく、撮影条件、道路使用条件によっては断る場合もあるそうです。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。













