ポルシェマニアが最後に行き着く!? 「911スピードスター」とは?
ポルシェ「911」シリーズのなかでも、「ターボ」や「RS」などに負けないほど人気の高い「スピードスター」。そこで、スピードスターの歴史をダイジェストで辿るとともに、最新オークションでの落札価格をレポート。
北米向けに生まれたポルシェ「スピードスター」
2020年7月に開催された「オープン・ロード・ザ・ヨーロピアン・サマー・オークション」で、オーガナイザーのRMサザビーズは驚くべきロットを実現してみせた。
それはポルシェ「911」のファンにとっては特別な響きを持つ、3つの世代の「スピードスター」を一堂に出品すること。オークショネアの価値は、いかに魅力的な出品物を揃えるかにあるかともいわれるが、その意味では彼らの仕事は超一流のオート・オークショネアといえる。
まずはスピードスターというネーミングをポルシェが使った最初のモデル、1954年デビューの「356スピードスター」の解説から始めよう。いわば簡単な歴史の復習だ。
ポルシェにとって1950年代から、そのもっとも大きな、そして重要な市場は、現在もそうであるようにアメリカ合衆国である。当時の「356」はアメリカン・スポーツよりもコンパクトでパフォーマンスに優れ、レースでも常勝マシンとして高い評価を得ていたから、さらに高性能なモデルを望むカスタマーからの声は常に大きなものだった。
そこでポルシェが用意したのが、レース向けの軽量モデルであり、また街中では人の目を魅了する魅力的なスタイルを持つモデルだった。
これまでのモデルより低くデザインされたフロントウインドウ、はめ込み式のサイドウインドウ、オプションのハンドクラフト製ソフトトップ等々で、カブリオレ比70kgの軽量化を実現したニューモデルには、「スピードスター」の名が与えられた。
リアには最高出力55psの1.5リッター水平対向4気筒エンジンが搭載された。
1957年まで生産が継続された356スピードスターは、トータルで4854台が生産された。それらはもちろんポルシェのファンにとって貴重なコレクターズアイテムとなっている。
そしてこのスピードスターの名前が復活したのは、実に1980年代を迎えてからのことになる。
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