ノアヴォク&セレナに押され気味… わくわく感なら負けないホンダ「ステップワゴン」の販売動向とは
日本のミニバン市場には、コンパクト、ミドル、ラージとボディサイズによって細分化されていますが、なかでもミドルサイズのホンダ「ステップワゴン」は現行モデルが登場した直後からライバル勢に押され気味でした。ライバルにはない「わくわくゲート」を採用するなど魅力があるステップワゴンですが、なぜ販売面では押されているのでしょうか。
ステップワゴンは使い勝手の良さが決め手!
2020年上半期の販売台数ランキングにおけるミドルサイズのミニバンでは、全体11位に日産「セレナ」、全体13位にトヨタ「ヴォクシー」、全体16位トヨタ「ノア」がランクインしていますが、ライバルに比べて販売台数が伸びていないのがホンダ「ステップワゴン」です。なぜ、ライバルにも劣らぬ魅力を持つにも関わらず、販売面では押され気味なのでしょうか。
ステップワゴンは、1996年に初代が発売されました。当時、ワンボックスの乗用車では運転席下にエンジンがあるキャブオーバータイプが多いなか、FFレイアウトの採用により低床設計を実現。現代的なミニバンの先駆けともいえるモデルで、人気となりました。
現行の5代目は2015年から販売されていますが、新型モデルとなった直後の翌年2016年も販売台数は伸びず、セレナ、ヴォクシー、ノアに順位を抜かれミドルサイズミニバンのなかでは4位。その後もなかなか勢いに乗ることができないまま、直近の2020年上半期の販売台数も同クラスで4位のままです。
また、ミニバン全体でいえば、2020年上半期では、セレナ、ヴォクシー、ノアの上位にコンパクトミニバンのトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」、ラージサイズではトヨタ「アルファード」がランクインしているため、それらも含めるとステップワゴンはミニバンジャンルで7位まで後退します。
最近のステップワゴンは販売現場ではどのような状況なのでしょうか。ホンダ販売店は最近のステップワゴンの売れ行きについて次のように話します。
「同じミニバンでは、やはりステップワゴンより競合車のほうが売れていると感じるのは事実です。最近は燃費を気にされるお客さまが増えており、ステップワゴンにもハイブリッドは設定されていますが、競合車のほうが早くからハイブリッドのイメージが定着していることからそちらの方に流れてしまう印象です」
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ステップワゴンにもハイブリッド車は設定されていますが、はじめて設定されたのは2017年9月のマイナーチェンジでした。
一方セレナは、2012年には最初のハイブリッド車が設定され、現在では「e-POWER」という日産独自のハイブリッドシステムを搭載するモデルも設定しています。
また、ノア/ヴォクシー/エスクァイアの三兄弟も2014年からハイブリッド車を設定するなど、ハイブリッド車設定のタイミングの問題から、ステップワゴンと競合車でハブリッドに対するイメージの定着に差があるのは確かなようです。
さらに、価格面でも差が見られます。ステップワゴンのハイブリッド車の新車価格は342万7600円から、ライバル車のハイブリッド車はそれぞれ、セレナ e-POWERが299万6200円から、ノアが305万9100円から、ヴォクシーが334万7300円から、エスクァイアが337万9200円からとなっています。装備内容の差などもあるため単純に比較はできませんが、価格面も競合車のほうが魅力的に見えてしまう一因かもしれません。
しかし、月単位で見てみてみると、ステップワゴンがノアやヴォクシーよりも上位にランクインしている月もあり、根強い人気があることもうかがえます。この理由について、前述のホンダ販売店は次のように話します。
「ステップワゴンは『わくわくゲート』という独自の特徴を持っており、ミニバンのなかでもとくに使い勝手が良いクルマになっています。
現在は『わくわくゲート』非搭載モデルも用意されていますが、ステップワゴンを購入されるほとんどの人は搭載モデルを選択されています。
また、ファミリーカーとして利用する場合、使用頻度や走行距離によってはハイブリッドのメリットを活かしづらいことから、あえてガソリン車を選ぶ人もいらっしゃいます」
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そして、ステップワゴン最大の特徴である「わくわくゲート」は、リアドアを縦だけでなく横にも開けることから、狭い駐車場などの後方にスペースがない場所でも開閉がおこなえ、サードシートの乗り降りにも利用することが可能です。
非搭載モデルの用意があるなか、搭載モデルを選ぶユーザーが多いことからも、わくわくゲートが競合車たちと差別化されたポイントであり、ステップワゴンを購入する決め手のひとつになっていることがわかります。
ステップワゴンは、ハイブリッドのイメージの弱さや価格面でライバル車たちに差を付けられている一方で、独自の装備による差別化があることにより、爆発的な勢いこそ見られないものの、現在もニーズに合ったユーザーから一定の支持を得ているといえるでしょう。
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