街乗りメインのSUVは2WDが売れ筋!? SUVなのに4WDが不要になった訳
若い世代を中心に人気を博すコンパクトSUV
いまではSUVでも2WDが売れ筋のカテゴリになりましたが、これは日常的な移動に使うユーザーが増えたからです。
これにともない、林道や雪道を走る、いわゆるレジャーカーとして使われる比率は下がり、相対的に4WDも減りました。
販売店からは、SUVの購入動機について次のような話が聞かれます。
「背の高いSUVは後席や荷室も広く、ボディがコンパクトでも、ファミリーカーとして使えます。新しいカテゴリだから、比較的若いお客さまも多いです。そこでメーカーや販売会社も力を入れており、駆動方式はあまり関係ありません」
日産は、「コンパクトSUV市場では、全体の25%を20代から30代のお客様が占めます」といいます。ライズも40歳未満のユーザーが全体の23%なので、コンパクトSUVは、将来も自社製品を買い続けてくれる有望な顧客の多いカテゴリです。
40歳未満のユーザーは、1980年代から1990年代前半に流行したオフロード4WDの日産「テラノ」やトヨタ「ハイラックスサーフ」についてほとんど覚えていません。「最低地上高の高いSUVのボディを活用できるのは4WD車」という考え方は、もはや過去のものになりました。
価格の問題もあるでしょう。4WDは、小型/普通車の場合で、2WDに比べると20万円から25万円高くなります。
最近は安全装備の充実などによって車両価格が全般的に高まり、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールや後方の並走車両を検知できる装備などがオプション設定されることも多いです。
雪道や悪路を頻繁に走るユーザーを除くと、4WDシステムよりも、これらの運転支援機能や安全装備を優先させるでしょう。
また4WDの燃費数値は、2WDに比べて8%から10%悪化することが多いです。
こういった事情もあり、最近は4WDに消極的なSUVが増えました。見方を変えれば、コンパクトカーやミニバンと同様に、SUVが普及した結果ともいえるでしょう。
その一方で、トヨタ「RAV4」は大半のグレードが4WD、スズキ「ジムニー」は4WDのみの採用ですが、両車とも好調に売れています。
RAV4では、2リッターガソリンを搭載した「アドベンチャー」と「G・Zパッケージ」は、後輪左右の駆動力配分を積極的に変化させる「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を搭載して、機敏に良く曲がる運転感覚が人気を得ました。
ジムニーは悪路で駆動力を高める副変速機を装着して、走破力は抜群に高いです。
このように走りやメカニズムに分かりやすい明確な個性を持たせたSUVであれば、4WDが中心の構成でも売れ行きを伸ばします。
単に4輪を駆動するだけでなく、SUVとしての付加価値のある4WDシステムが人気を集めるようになったというわけです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
舗装路しか走らないユーザー向けに販売してるのと、電子制御の4WDはFFと大差無いから機械式4WDを必要としてる人は選択肢に入れない。
スリップ感知の4WDは後輪回る時には手遅れってこともある。