見た目を裏切るオフロード車があった!? 悪路もこなす4WDコンパクトカー3選

現在、世界的に人気となっているSUVですが、主流となっているモデルはオンロード性能に特化したクロスオーバータイプです。一方、かつては本格的なオフロード4WD並の走破性をもつコンパクトカーが存在。そこで、悪路走行を得意としたコンパクト4WD車を3車種ピックアップして紹介します。

クロスカントリー4WD車に近いコンパクトカーを振り返る

 近年、世界的に高い人気を誇るクルマといえば、SUVです。直近でも続々と新型モデルが登場するなど、まだまだ人気に陰りは見えません。

コンパクトカーながらオフロードも得意だったクルマたち
コンパクトカーながらオフロードも得意だったクルマたち

 そんなSUVのなかでも、オンロード性能を重視したクロスオーバータイプが主流で、オフロード走行が得意なモデルは限られています。

 一方、かつては本格的なオフロード走行が可能なコンパクトカーが存在。そこで、悪路走行を得意としたコンパクト4WD車を3車種ピックアップして紹介します。

●フォルクスワーゲン「ゴルフ カントリー」

軍用車もつくっていたシュタイアプフと共同開発された「ゴルフ カントリー」
軍用車もつくっていたシュタイアプフと共同開発された「ゴルフ カントリー」

 フォルクスワーゲンの偉大な大衆車である「タイプ1(ビートル)」の後継車として、1974年に初代「ゴルフ」が発売されました。

 いまでこそゴルフはプレミアムコンパクトカーに位置していますが、本来は大衆車として開発されたモデルです。

 1983年に2代目ゴルフが発売されると、1986年にシリーズ初の4WD車「ゴルフ シンクロ」を追加。ビスカスカップリングを用いたフルタイム4WDシステムを搭載し、雪道などの走破性が向上していました。

 そして、1990年にゴルフ シンクロをベースにした派生車として「ゴルフ カントリー」が登場。

 ゴルフ カントリーは最低地上高が210mmまで上げられ、フロントにスチール製のグリルガードや下まわりを保護するスキッドプレート、リアにはスペアタイヤキャリアが装着されるなど、見た目は完全に本格的なオフロード車でした。

 また、シャシも強化され、タイヤはブロックパターンのオフロードタイヤが標準装備されるなど、実際にオフロード走行に対応していました。

 生産は、現行モデルのメルセデス・ベンツ「Gクラス」やトヨタ「スープラ」の製造をおこなっている、オーストリアのシュタイアプフ(現、マグナシュタイア)が担当。4WDシステムの開発もシュタイアプフです。

 ゴルフ カントリーは1991年に日本にも正規輸入されましたが、販売的には成功したといえず、いまではかなりのレアモデルとなっています。

●フィアット「パンダ4×4」

庶民のクルマながら本格的な悪路走破性を持っていた「パンダ4×4」
庶民のクルマながら本格的な悪路走破性を持っていた「パンダ4×4」

 いまもフィアットのエントリーモデルとして販売されている「パンダ」は、1980年に初代が誕生。デザインは巨匠ジウジアーロが担当しました。

 優れた経済性と積載性を両立することを目的として開発された初代パンダは、当時のフィアットの財務状況から開発費や製造コストを抑えることが要求され、外装ではウインドウとボディ外板は可能な限り平面とすることで対応。

 また、内装も極限までシンプルにデザインされており、ハンモックをモチーフとした簡素な「ハンモックシート」を採用。安価に作られていながらも絶妙なデザインによって、安っぽく見えない工夫が施されました。

 エンジンは当初650cc空冷直列2気筒と900cc水冷直列4気筒を搭載。日本には1982年から900ccモデルのみが輸入されます。

 その後、1983年には前述のゴルフ カントリーと同じくシュタイアプフが開発した4WDモデル「パンダ 4×4」を追加ラインナップ。横置きエンジンの小型車では世界初となる4WD車でした。

 4WDシステムは手動で切り替えをおこなうパートタイム式で、5速MTの1速ギアは高い駆動力を発揮するスーパーローに設定され、通常走行時は2速発進が推奨されていました。

 また、リアサスペンションは強化されたリーフスプリングのリジッドアクスルで、シャシも強化されるなど、オフロード走行をこなせる実力がありました。

 なお、2代目と現行モデルの3代目パンダ 4×4(パンダクロスもあり)も、悪路走破性の高さを受け継いでいます。

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