「GRヤリス」よりもスゴかった!? 短命だったモンスターマシン5選

2000年代になるとクルマの性能は飛躍的に向上しました。とくに燃費性能や安全性能と並んで、目覚ましい進化を遂げたのが動力性能です。しかし、1980年代にもモータースポーツで勝つことを目的に、異常なまでに高性能化した時代があります。そこで、往年のモンスターマシンを5車種ピックアップして紹介します。

勝つためだけに生まれたモンスターマシンを振り返る

 2000年代に入ってすでに20年経ちますが、この20年間のクルマの進化は目覚ましく、燃費性能や安全性能と並んでエンジンの出力や運動性能は飛躍的に向上しました。

速く走ることをピュアに追求したモンスターマシンたち
速く走ることをピュアに追求したモンスターマシンたち

 しかし、1980年代に、モータースポーツで勝つことを目的につくられた凄まじい性能のクルマが存在。

 そこで、往年のモンスターマシンを5車種ピックアップして紹介します。

●ランチア「デルタS4」

グループB終焉を決定付けてしまった「デルタS4」
グループB終焉を決定付けてしまった「デルタS4」

 1979年に発売されたスタイリッシュな5ドアハッチバック、ランチア「デルタ」は、オーソドックスなFFコンパクトカーです。

 そして1985年に、フィアットグループは世界ラリー選手権(以下、WRC)に出場するグループB車両として「デルタS4」を開発。デルタという車名がつけられていますが、市販のデルタとはまったく異なるシャシとボディとなっており、共通する部品はほとんどありません。

 搭載されたエンジンは1.8リッター直列4気筒で、低回転域やスロットルオフからの加速時はアバルト製スーパーチャージャーで過給し、高回転域ではターボチャージャーで過給するツインチャージャーを採用。

 最高出力は250馬力を発揮しましたが、これはストリート仕様で、ラリーに出場したワークス車両では500馬力以上を絞り出したといわれています。

 このエンジンをリアミッドシップに縦置きにマウントし、駆動方式はフルタイム4WDとなっていました。

 デルタS4がWRCに参戦すると、圧倒的な強さを誇りました。しかし、1986年のWRC第5戦「ツール・ド・コルス」で、ランチアのエースドライバーだったヘンリ・トイボネンがコースアウトして崖下に転落し炎上。

 ドライバーと、コドライバーの両名が死亡するという、痛ましい事故が起きました。

 さらに、直近のレースでも重大事故が多発して観客に死亡者が出るなど、グループB車両は危険すぎると判断されて1986年シーズンをもって終了しました。

●プジョー「206ターボ16」

大衆車のシルエットながら戦闘マシンに変貌した「205ターボ16」
大衆車のシルエットながら戦闘マシンに変貌した「205ターボ16」

 1983年に欧州でデビューしたプジョー「205」は、1.6リッター直列4気筒エンジンを搭載した同社のエントリーカーで、秀逸なデザインと優れた性能で話題となりました。

 そして、1984年にはWRCへの参戦を目的したグループB車両の、「205ターボ16」が登場。

 WRCでは4WDをいち早く取り入れたアウディ勢が快進撃を続けていたなか、プジョーは205を4WD化するだけでなくエンジンをリアミッドシップに搭載して、運動性能を高める手法をとります。

 搭載された1.8リッター直列4気筒ターボエンジンは、ストリート仕様では最高出力202馬力と控えめでしたが、ラリー車両は540馬力を誇りました。

 205ターボ16の外観は、シルエットこそ205をイメージしていましたが外装にFRPを多用し、張り出したフェンダーやエアロパーツに、リアサイドのエアインテークなどによって、戦闘マシンへと変貌。

 シャシや室内もベース車とはまったく異なるものとなっていました。

 なお、205は日本へ1986年から正規輸入が開始され、とくにスポーティグレードの「205GTI」が人気だったため、プジョーのモデルのなかでも馴染み深いのではないでしょうか。

●ルノー「5マキシターボ」

外観もすごいが中身はもっとすごかった「5マキシターボ」
外観もすごいが中身はもっとすごかった「5マキシターボ」

 かつて、ルノーのエントリーカーとして、欧州のみならず日本でも馴染みが深かったのが「5(サンク)」です。

 初代5のデビューは1972年と基本設計は古かったものの、優れたデザインのコンパクトカーで、ユニークなメカニズムを採用するなど人気を博し、1984年まで生産されたロングセラーでした。

 この5をベースとしてWRCに参戦するために開発されたのが「5ターボ」です。5ターボは当時のグループ4カテゴリーのレギュレーションに則ってつくられ、1980年に発売されました。

 最大の特徴は後席部分にエンジンを縦置きに配置し、リアタイヤを駆動する2シーターミッドシップに作り変えられていた点です。

 搭載されたエンジンは1.4リッター直列4気筒OHVにターボが装着され、市販モデルで最高出力160馬力を発揮。

 さらに、外観も大きく張り出したオーバーフェンダーによって、大衆車をベースしたとは思えないほどの迫力を演出し、初期のモデルでは、内装の色使いやデザインが秀逸と評されるほど、アヴァンギャルドなクルマに仕立てられています。

 その後、WRCがグループBに移行すると「5マキシターボ」となって参戦。1.5リッターながら最高出力はピーク時には350馬力を絞り出しましたが、4WD勢の後塵を拝してしまいました。

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1件のコメント

  1. 現代のクルマに、このような競技に使えるクルマが殆ど無くなってしまいました。
    モータースポーツなくして、自動車メーカーの発展はないと思っています。
    夢のある弄れるクルマの復活を望みます。

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