2億円オーバーか!? 世界にわずか11台のみしかない「ミウラ」とは?

大人気のランボルギーニ「ミウラ」のなかでも、もっとも人気のあるのが、「ミウラP400SV」だ。その通称ミウラSVの極レアモデルである右ハンドルバージョンが、オークションに出品された。そのミウラのヒストリーとは?

大人気「ミウラ」に真打登場!

 英国コヴェントリーを本拠とするとともに、その名のとおりシルバーストーン・サーキットにおいても、しばしば自国のエンスージアスト向けに大規模オークションをおこなってきた「シルバーストーン・オークション」社は、2020年8月1日よりオンライン限定のオークション「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」を開催することになった。

 新型コロナウィルス禍によって、変動期を迎えてしまった現在のクラシックカー・マーケット。しかし、以前から人気の高かったランボルギーニ「ミウラ」はオンライン化されたオークションでも変わらない人気を博してきたが、このシルバーストン・クラシックではミウラのなかでも特に人気の高い「P400SV」が出品されることになっているのだ。

●マーケット価値が最も高いミウラ

オークションによっては2億円オーバーで落札されることもある「ミウラP400SV」(C)SILVERSTONE AUCTIONS
オークションによっては2億円オーバーで落札されることもある「ミウラP400SV」(C)SILVERSTONE AUCTIONS

 先ごろRMサザビーズ社が開催したオンライン限定オークション「THE EUROPEAN SALE featuring THE PETITJEAN COLLECTION」にて、1968年型「P400ミウラ」が出品された。

 70万から80万ユーロというエスティメート(推定落札価格)に対して、手数料込みで71万5000ユーロ(約8716万円)という価格で落札されたことは、VAGUEでもお伝えしたとおりだ。

 クラシックカー・マーケットの崩壊も噂された新型コロナ禍の真っただ中にあって、なかなかの健闘だったのは間違いないものの、それでも近年「億超え」が当たり前のようなイメージもあったミウラとしては、ちょっと安価では? と思われる向きもあるだろう。

 この価格に至った要因としては、出品されたP400ミウラが旧オーナーの博物館構想に基づいて、長らく不動のままコレクションされていたことから、特に機関部のコンディションに不安があったことは否めない。しかし、それ以上に歴代ミウラのなかでは現況のマーケット価格が比較的リーズナブルに推移しているP400であったことが、最大の理由と思われる。

 一方、今回のオークションに出品されるのは、時には3億円近い価格で取り引きされる事例もあったP400SVなのだから、業界の注目を集めるのは当然ともいえるのだ。

 1966年に正式デビューを果たしたランボルギーニP400ミウラは、2年後の1968年にはV12エンジンを350psから370psにスープアップするとともに、細部をブラッシュアップした「P400S」へと進化する。この「S」は「極端な」を意味するイタリア語「Spinto」の頭文字といわれる。

 そして1971年、ミウラの最終進化形として登場したP400SVは、Spintoに「速い」を意味する「Veloce(ヴェローチェ)」を組み合わせた頭文字「SV」が授けられた高性能版。

 パッと見ただけの印象では、リトラクタブル式ヘッドライトの特徴的な「まつ毛」が廃止されたくらいの違いにしか見えないのだが、まずV12エンジンは、ネーミングに相応しく385psまでパワーアップされた。

 またシャシにも手が加えられ、サスペンションのロワアームは剛性アップのためか、P400SまでのA字型から平行四辺形に近いかたちに変更。アーム長そのものも38mm延長された。またリアホイールは、オフセットを28mm拡大するととともにリムもワイド化されたことも相まって、後輪のトレッドはP400Sミウラから約100mm増の1514mmとなった。

 そしてこのホイールとタイヤを収めるため、リアフェンダーも豊満な意匠に拡幅されたことが、P400SVのエクステリアにおける2つ目の特徴となったのだ。

 さらに、設計者のジャンパオロ・ダラーラがBMCミニから着想したとされる、エンジンとトランスミッションのオイル潤滑を一体化することで、コンパクト化を図るというP400/P400S時代の潤滑システムは、P400SV後期の94台限定ながら、幻のスペチアーレ「イオタ」での実験成果を生かしてセパレート化されるなど、ブラッシュアップの範囲は多岐にわたるものであった。

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