トヨタ「ライズ」は「C-HR」とは違う!? 身の丈にあった小型SUVが着実に売れる訳

コロナ禍でも着実な販売を重ねるライズ&ロッキー

 一方ダイハツブランドで販売されるロッキーは、2020年1月と2月の月別登録台数は3000台から4000台でしたが、3月は5000台を超えました。4月と5月は1500台から2000台でした。

トヨタ「ライズ」とダイハツ「ロッキー」
トヨタ「ライズ」とダイハツ「ロッキー」

 トヨタの販売店に顧客の反応を尋ねると、次のように説明しています。

「ライズのお客さまからの受注は、生産を上まわる状態が続いています。納期は、以前は3か月でしたが、現時点(2020年6月中旬)では4、5か月に伸びました。

 現時点の契約でも、納車は10月から11月です。コロナ禍による生産低迷ではなく、注文が増えているためです」

 ダイハツの販売店にはロッキーの状況を尋ねると、「ロッキーの受注は、現時点で約3か月を要します。納車は2020年9月頃で、安定しています」とのことです。

 ライズかロッキーを検討し、なるべく早い納車を希望するなら、ロッキーも考えると良いでしょう。

 ライズとロッキーは基本的に同じクルマですが、グレードや装備内容、価格は微妙に違います。

 装備と価格が似ているのは、ベーシックグレードは、「ライズX・S」と「ロッキーL」、中級グレードは「ライズG」と「ロッキーX」、上級グレードは「ライズZ」と「ロッキーG」です。

 XとGのグレード名を両車が異なる位置付けのグレードで使っているので、とても分かりにくいです。

 そして装備と価格のバランスは、ロッキーが2万円ほど割安です。ダイハツはトヨタに比べて営業関連のコストが安いので、価格も下がりました。

 数年後の下取査定を気にしないのであれば、納期の短縮も含めてロッキーを選ぶ方法もあるでしょう。

※ ※ ※

 SUVは実用性と併せて趣味性の強いカテゴリなので、発売直後に売れ行きを伸ばし、その後は下がる傾向が強いです。

 たとえばC-HRは、発売直後の2017年1年から6月には、1か月平均で1万3000台以上を登録。小型/普通車の月別販売1位になったこともあります。

 それが10月以降は5000台から6000台に下がり、2019年の1か月平均は4600台です。C-HRの売れ行きは、2年ほどの間に最盛期の35%程度まで落ち込みました。

 C-HRに比べると、ライズは1か月に1万3000台以上を売るような華々しさはありませんが、一定の台数を着実に登録していくでしょう。

 小型/普通車の販売1位にならなくても、常にトップ10車以内には入り続けます。

 5ナンバーサイズで身の丈に合った実用性を備えるちょっと楽しいSUV、こういう共感の得られるクルマが、いまは少なすぎるように思います。

 その結果、ライズとロッキーに需要が集まったのだといえます。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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