トヨタ「ライズ」は「C-HR」とは違う!? 身の丈にあった小型SUVが着実に売れる訳
コンパクトなボディで価格も手ごろなSUVとして、トヨタ「ライズ」・ダイハツ「ロッキー」など、ダウンサイジング需要に応えるモデルが人気です。発売以降、販売ランキングの乱高下はあるものの、着実な販売を記録しています。なぜ人気なのでしょうか。
売れる要素を詰め込んだ小型SUV「ライズ&ロッキー」
日本は道路や駐車場が狭く、コンパクトな車種の人気が高いです。とくに最近は、安全装備や環境性能の向上で、クルマの価格も上昇しました。
安全装備や環境性能の向上は好ましいですが、価格が高くなると、当然ながらユーザー側の予算を超過します。
そうなると従来と同じ予算で買うには、ボディやエンジンの排気量を小さくする必要があります。そこで「ダウンサイジング」が生まれました。
一般的にダウンサイジングは、ムダを抑えた賢い選び方とされますが、背景には車両価格の値上げと所得の伸び悩みがあります(現在の平均所得は1990年代の中盤を下まわります)。切実な事情に基づいた需要動向です。
その一方で、最近はSUVの人気が高まりました。厚みのあるフロントマスクや大径タイヤの装着で外観がカッコ良く、ボディの上側はワゴン的な形状なので、居住性や積載性も優れています。SUVはデザイン性と実用性を両立させて、注目のカテゴリになりました。
そして「コンパクトカー」と「SUV」という売れ筋要素を兼ね備えた車種が、2019年11月に発売されたコンパクトSUVのトヨタ「ライズ」とダイハツ「ロッキー」です。
両車とも基本的に同じクルマで、開発と製造はダイハツがおこない、トヨタはライズをOEM車として販売しています。
全長が4mに収まるボディは街中で運転しやすく、4名乗車が可能な居住空間と使いやすい荷室も備えます。エンジンは1リッター直列3気筒ターボで、1.5リッターの自然吸気エンジンと同等の動力性能を発揮します。
価格はライズで中級に位置する「2WD・G」が189万5000円、4WDは213万3700円です。コンパクトカーのトヨタ「ヤリス」に比べると、15万円程度の価格上昇です。
しかもロッキー&ライズは、前輪駆動をベースにしたシティ派SUVでありながら、外観はオフロードSUV風です。
最近はトヨタ「C-HR」「ハリアー」、マツダ「CX-30」のような典型的なシティ派SUVが増え過ぎて、オフロードを感じさせる車種が改めて注目されています。
この傾向でトヨタ「RAV4」が人気を集め、ロッキー&ライズもサイズは小さいですが、同じような特徴を備えます。
ロッキー&ライズには好調に売れる要素が多いので、発売当初は販売が好調に推移。ライズは販売ランキングの上位に入りました。また、2020年1月と2月は、小型/普通車の登録台数1位になっています。
ところが3月にライズは、トヨタ「カローラシリーズ」やヤリス、ホンダ「フィット」に抜かれ、小型/普通車の4位に下がりました。ヤリスとフィットは2月に発売されたばかりの新型モデルで予約受注も多く、その数字が3月の登録台数に反映されたことが考えられます。
4月はトヨタ「シエンタ」、ホンダ「フリード」、トヨタ「アルファード」にも抜かれて7位ですが、状況は5月には一変し、ライズはヤリスに次ぐ2位まで急浮上しました。
例年、1月から3月はお年玉商戦や年度末の決算セールなどがおこなわれ、クルマが多く売れる時期ですが、その反動で4月はあまり売れないといわれています。
さらに、販売ランキングが乱高下した背景には、コロナ禍の影響があります。各車種ともコロナ禍の影響で生産と販売が滞ったので、4月と5月の順位も本来の人気を反映させたものとはいえないでしょう。
ライズは、小型/普通車販売ランキングの1位になった2020年1月からコロナ禍の影響が生じる直前の3月まで、フルに生産されていました。
小型/普通車販売ランキングが4位に後退した3月も、登録台数は一貫して1万台を超えていましたが、4月以降は登録台数が5545台に下がりました。
5月は2位まで浮上しましたが、登録台数は7916台にとどまります。コロナ禍によってフィットやカローラシリーズの売上も下がり、ライズの順位が繰り上がったというワケです。
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