名車だけでなく迷車もある!? 記憶に残る異色のホンダ車5選

ストイックすぎたホンダ車とは!?

●コンチェルト

英国調の小さな高級車を目指した「コンチェルト」
英国調の小さな高級車を目指した「コンチェルト」

「コンチェルト」は、1988年に発売されたシビッククラスのセダンです。ホンダと英国のローバーグループによって共同開発され、小さな高級車をコンセプトとしていました。

 ボディは6ライトウインドウが特徴的な直線基調のヨーロピアンスタイルで、4ドアセダンと5ドアハッチバックをラインナップ。

 搭載されたエンジンは、1.5リッターと1.6リッターの直列4気筒で、4ドアセダンには従来のスタンバイ式4WDだけでなく、前後輪と後輪左右のタイヤへ独立して駆動力配分をおこなう4WDシステム「INTRAC(イントラック)」を採用するなど、先進的な機能が盛り込まれています。

 また、高剛性モノコックボディによって走行時における車内の騒音が抑えられており、快適な乗り心地を実現。

 コンチェルトはヨーロッパの伝統とホンダの技術を融合した、プレミアムコンパクトの先駆け的存在です。

 しかし、当時はバブル景気という背景もあり、やや地味な印象からか売れ行きはあまり伸びず、1992年に後継車の「ドマーニ」が登場したことで、コンチェルトの名前は一代限りで消えてしまいました。

●インサイト

ストイックに燃費を追求した「インサイト」
ストイックに燃費を追求した「インサイト」

「インサイト」は、1999年に登場したホンダ初のハイブリッド車です。1997年に発売されたトヨタ初代「プリウス」に対抗するために、ストイックなまでに低燃費を目指して開発されました。

 パワーユニットは、70馬力の1リッター直列3気筒エンジンに13馬力のアシスト用モーターを組み合わせた、「ホンダIMA(インテグレーテッド・モーターアシスト)システム」と呼称されるパラレルハイブリッドを採用。

 乗車定員は2名で、NSXで培った技術を活かしたアルミ製シャシや、アルミと樹脂を組み合わせたボディパネルを採用したことで、モーターやバッテリーを搭載しながら車量は820kg(MT車)に抑えられていました。

 また、外装はリアタイヤをスカートで覆い、デザインもスポーツカーのようなフォルムで空力を重視し、Cd値(空気抵抗係数)0.25を実現。

 その結果、燃費はプリウスを抜き、当時の量産ガソリン車で世界最高となる35km/L(10・15モード)を達成しています。

 しかし、インサイトは2名乗車としたことで多くのユーザーからは受け入れられず、販売が低迷。2004年のマイナーチェンジで36km/L(10・15モード)と、さらに燃費を向上させましたが販売の回復にはつながらず、2006年に生産を終了しました。

 そして2009年に発売された2代目インサイトは、プリウスを意識した5ドアハッチバックに改められ、2018年に登場した3代目は2モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」を採用。全長4675mm×全幅1820mm×全高1410mmと大柄なボディながら、34.2km/L(JC08モード:LXグレード)の低燃費を実現しています。

※ ※ ※

 冒頭にあるとおり、ホンダ車の歴史は軽トラックのT360から始まりました。しかも、当時の常識では考えられないほど高回転型の、360cc直列4気筒DOHCエンジンを搭載するというスーパートラックです。

 当時は「スポーツ360」(市販されなかった軽スポーツカー)と同時に開発されており、このエンジンしか持っていなかったことが理由のようですが、軽トラックに複雑な構造の高回転型エンジンは必要とされず、販売は振るいませんでした。

 しかし、こんなクルマを最初の市販車としたのは、いかにもホンダらしい考え方ではないでしょうか。

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