ポルシェ911史上最強! 「911 GT2RS」の諦めの境地とは?

スポーツカーメーカーであるポルシェが市販する、もっとも最高スペックの「911」が、「GT2RS」である。古今東西のあらゆるスーパーカーを試乗してきたモータージャーナリスト西川淳氏が、この911GT2RSに試乗し、ハイパーカーの未来を予言する。

スポーツカーの民主化を唱えたポルシェが行き着いた最強のロードカー

 スポーツカーブランドが世界のクルマ好きから支持され続けるための鉄則は何か。モデルやブランドが継続していること、いい換えれば絶えず進化し続けていることだ。

ポルシェ911 GTS2RSのポテンシャルを味わい尽くすには、ステージはサーキット、そして相応のドライビングスキルが必要となる
ポルシェ911 GTS2RSのポテンシャルを味わい尽くすには、ステージはサーキット、そして相応のドライビングスキルが必要となる

 スポーツカーにとってもっとも分かりやすい進化とは数字で目に見えるパフォーマンスだろう。それゆえ、これだけ環境や安全が叫ばれる今となっても世界のスポーツカーブランドは皆、相変わらずスペック競争に明け暮れている。もちろん、環境性や安全性といった社会からの要請にも応じるカタチで。両立してこその一流というわけだ。

 そのことは世界でもっとも成功しているスポーツカーブランドのひとつ、ポルシェの過去と今を紐解いてみればよく分かる。

 ポルシェはスポーツカーの民主化を唱えて始まったブランドだ。それゆえ専用車台(たとえばミドシップ)を新たに起こさず(もちろん技術的にはそうすることもできたのだが)、VWのRRレイアウトを踏襲して356シリーズを世に問うた。

 その発展系というべき「911」シリーズの誕生は1964年であり、以来、その基本コンセプトを大きく変えることなく、そしてRRという特殊性ゆえの進化を絶やすことなく、現代まで連綿と続いてきた。だからこそ911シリーズは世界中のクルマ好きから愛される存在となったのだ。

 そんなポルシェがいま、市販する最高スペックのスポーツカーが911の「GT2RS」である。

 先代991型をベースに徹底的な軽量化を施し、700psを発揮するという途方も無い最高出力の3.8リッターフラット6ツインターボエンジンをぶち込んだ。

 各種電子制御に守られている、とはいうものの、伝統のリアエンジン・リアドライブ、つまりは2駆だ。であるにも関わらず0-100km/h加速はわずかに2.8秒で、4WDスーパーカーも真っ青な数値を誇るから、読んだこっちも青くなる。

 もちろん車両本体価格もまた約3700万円と超一流。オプション込み登録乗り出しで軽く4000万円を超えてしまうというシロモノだ。

 もっとも性能だけで見れば他のスーパースポーツよりお買い得ということもできるのだが……。

 間違いなく史上最強の911ロードカーである。レーシングカーとしても立派に通用するであろうことは、サーキット専用車両である世界200台限定の「911GT2RSクラブスポーツ」や77台限定「935/78」のベースとなったことからも容易に推察できる。

 公道を走ることの許された911レーシングカーだといい換えてもいい。果たしてどんな乗り味なのだろうか。バイザッハ・パッケージ仕様に試乗した。

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