軽市場に変化あり? 売れ筋とブームは別物? 日本人の性格を表す市場動向とは

売れ筋の軽自動車といえば、背が高くスライドドアを備えていることが挙げられますが、それとは別に軽クロスオーバーSUVというジャンルもトレンド化しています。最近の軽自動車市場にはどのような変化があるのでしょうか。

日本人は堅実? 流行りモノ好き?

 売れ筋の軽自動車といえば、背が高くスライドドアを備えていることが挙げられますが、それとは別に軽クロスオーバーSUVというジャンルもトレンド化しています。最近の軽自動車市場にはどのような変化があるのでしょうか。

使い勝手の良いN-BOXと流行りの軽SUV「タフト」
使い勝手の良いN-BOXと流行りの軽SUV「タフト」

 近年の軽自動車市場において、人気の軽自動車は大きくふたつに分けられます。ひとつは、売れ筋モデルのホンダ「N-BOX」、ダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」、日産「ルークス」といった全高1700mmを超え、後席スライドドアを備える「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるタイプです。

 もうひとつは、全高1500mmから全高1700mm未満でかつ後席がヒンジ式ドアのスズキ「ワゴンR」や日産「デイズ」、三菱「eKワゴン/eKクロス」、ホンダ「N-WGN」といったハイトワゴンとなります。

 とくに、スーパーハイトワゴンはこの10年ほどで確立されたもので、2009年当時の軽自動車販売台数の上位は、1位スズキ・ワゴンR(20万1528台)、2位ダイハツ・ムーヴ(18万2325台)、3位ダイハツ・タント(14万5432台)と、ハイトワゴンが主流でした。

 2019年の年間販売台数では、1位ホンダ・N-BOX(25万3500台)、2位ダイハツ・タント(17万5292台)、3位スズキ・スペーシア(16万6389台)と販売台数上では大きな変動はありませんが、車種においてはハイトワゴンからスーパーハイトワゴンにニーズが移り変わっていることがわかります。

 その一方で、直近の軽自動車市場では、スーパーハイトワゴンやハイトワゴンとは、別のコンセプトを備えた「軽クロスオーバーSUV(以下、軽SUV)」というジャンルに分類されるモデルが続々と登場しています。

 軽SUVというジャンルの先駆け的存在といわれているのが、2014年に登場したスズキの初代「ハスラー」で、開発コンセプトは「アクティブなライフスタイルに似合う軽クロスオーバー」でした。

 スズキは、初代ハスラーの発表時に、次のように説明しています。

「ハスラーは、広い室内空間と軽自動車に求められる日常での使いやすさに加え、アウトドアやスポーツなどのレジャーを好まれる人や、わだちや雪道など起伏のある路面を走行する機会が多い人に向けた全く新しいジャンルの軽乗用車です」

※ ※ ※

 この初代ハスラー以降、翌2015年にはダイハツ「キャスト」にSUVテイストを備えた「キャストアクティバ」が登場しましたが、2018年12月にスズキ「スペーシア」の派生モデル「スペーシアギア」を発売するまでは、そこまで確立したジャンルにはなっていませんでした。

 しかし、2019年以降では、3月に三菱「eKクロス」、2020年1月に2代目ハスラー、3月に三菱新型「eKクロススペース」、そして6月10日にはダイハツから新型「タフト」が発売されました。

 これらの軽SUVは、ハイトワゴンのボディにアウトドア感の強いパーツを装備して趣味性の強いSUV風の外観とし、車種によっては通常のハイトワゴンより最低地上高が高めに設定されているものの、普通車SUVのような本格的な4WDシステムを備えておらず、あくまでも見た目重視となっています。

 スズキの販売店スタッフは、軽SUVについて次のように話します。

「スズキでは、初代ハスラーやスペーシアギアといった軽クロスオーバーSUV以外に、本格的な走破性能を誇る『ジムニー』もラインナップしております。

 これらを検討されるお客さまの多くは、キャンプをはじめとするアウトドアやレジャー、そして車中泊などに興味のある人が多い印象があります。

 また、近年のSUVブームに影響されて自分で所有するには維持費などで軽自動車だけど、見た目はSUVが良いというお客さまもおります」

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 また、ダイハツの販売店スタッフは「日常の使い勝手が好評のタントとデザイン性や遊び心のある新型タフトで悩まれているお客さまはいらっしゃいます。これは、堅実な売れ筋商品と流行りのトレンド商品を悩まれるのと同じだと思います」と話します。

 日本人の性格上、堅実性のあるものを好む一方で、流行りやトレンドを選ぶ傾向にあります。現在の軽自動車市場は、まさにその異なるふたつのジャンルが盛り上げているといっても過言ではないかもしれません。

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