三菱「GTO」にオープンモデルがあった!! ペブルビーチで見た日本未導入車3選
アメリカ合衆国カリフォルニア州で毎年8月に開催される「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」は、クラシックカー・コンクールの世界最高峰だ。しかしその傍ら、近年では世界各国の高級車ブランドが、コンセプトカーや新型車のワールドプレミアの場としても活用している。2019年には、大規模な出展をおこなった唯一の日本ブランド「インフィニティ」の北米法人が、自らのブースをあたかも日本車ミュージアムのごとき展示イベント会場にするという、実にユニークなアプローチを披露していた。
バブル時代の申し子、三菱「GTO」にオープンモデルがあった!?
「JAPANESE AUTOMOTIVE INVITATIONAL」、通称「J.A.I.」と名づけられたこの展示イベントは、2018年から北米インフィニティによっておこなわれていたという。それが2019年には、ペブルビーチ・ゴルフリンクスの広大な敷地内に設けられた特設ブースにて、「インフィニティ・ブランド30周年」を記念してパワーアップ。
コンクール2日前の8月16日から本選のおこなわれる18日まで、3日間にわたって開催された。
この会場で初公開となったコンセプトカーは、「Qインスピレーション」および「Q’sインスピレーション」「QXインスピレーション」の3台。
そして、北米インフィニティの主要最新モデルたちが置かれた純白のブースの周りに集結した国産クラシックカーは、ざっと数えてみただけでも30台以上に及んだ。
古くは第二次大戦前、1937年型ダットサン16型クーペから、新しいところでは1990年代中盤のヤングタイマーたちに至るまで、年代/カテゴリーともに極めてバラエティに富んだラインナップであった。
しかも特筆すべきは、このイベントに展示されたクラシックカーは日産/インフィニティに限らず、メーカーやブランドの垣根を越えていたことだ。そこには「自動車史および自動車文化の一翼を担う重要な要素として日本車も捉えるべき」という確固たる信念と熱意が込められていた。
今回は、そんな「J.A.I.2019」エントリー車両のなかでも、アメリカならではのモデルをピックアップした。日本車なのに日本ではめったに(あるいはまったく)見られないクルマ3台を選りすぐり、皆さまにご紹介させていただきたい。
●ミツビシ3000GTスパイダー:1995
筆者が「J.A.I.2019」の会場に足を踏み入れた際に、目に飛び込んできた深紅のスポーツカーは、フロントから見ると三菱「GTO」後期型、あるいはアメリカなので輸出仕様「ミツビシ3000GT」のノーマル車両かと思いきや、サイドに回ると、かつて見慣れたGTOとは明らかに異なるプロフィールだった。
展示車に添えられたボードには、「MITSUBISHI 3000GT SPYDER」と紹介されていた。そこで手持ちのタブレットで検索したところ、実に興味深いクルマであることが判明した。
4代目から6代目のトヨタ「セリカ」、あるいは2代目「サイノス」に設定されたコンバーチブル版を製作したことでも知られる、アメリカ・カリフォルニア州の特装車メーカーで、オープンボディのスペシャリストである「American Specialty Cars(ASC)」社が、北米仕様ミツビシ3000GTをベースに製作。
1995年に北米三菱によって少数が販売された、北米マーケット限定の特装コンバーチブルだったのだ。
耐候性の高いハードトップを電動で開閉する、いわゆる「リトラクタブルハードトップ」は、シフトレバーの奥にあるスイッチの操作によって、約30秒で開閉できるとされた。
オープンにする際は、トランクリッドが後ろ向きに開き、ハードトップは2つ折りにされて収納される。
この手法は、初代メルセデス・ベンツ「SLK(R170系)」がパイオニアである、と筆者自身も認識していた。ところが、初代SLKはコンセプトモデルが1994年秋のトリノ・ショーで発表され、1996年に正式発表されたことから、実用化という点については1995年発売のミツビシ3000GTスパイダーが先、ともいえるだろう。
少なくとも筆者が調べ得る限りにおいては、日本に逆輸入された事例はほぼ皆無のようで、この会場で出会えたことは僥倖だったと思われる。
LZ20は生粋のレーシングユニットで100PSなんてことは絶対ありえませんよ?