マツダ車爆速!? 「RX-VISION GT3 CONCEPT」を仮想試乗 ロータリー音も再現
マツダは、ドライビングシミュレーションゲーム「グランツーリスモSPORT」用に特別モデルとなる「RX-VISION GT3 CONCEPT」を2020年5月22日に登場させました。今回は、ゲーム上の仮想空間で「RX-VISION GT3 CONCEPT」を自動車ジャーナリスト・山本シンヤ氏が試乗した様子を紹介します。
仮想世界でも分かる!? その走りの良さとは
2020年5月22日、マツダは1台のバーチャルモデルを世界初公開しました。「RX-VISION GT3 CONCEPT」と名付けられたモデルは、2015年の東京モーターショーでお披露目された「RX-VISION」をベースにFIA-GT3車両規則に則って開発されたモデルです。
「バーチャルモデル=絵に描いた餅」と思われがちですが、共同開発をおこなった株式会社ポリフォニーデジタルはプレイステーション4用のドライビングシミュレーションゲーム「グランツーリスモSPORT」を生み出したメーカーです。
誰でも手軽にかつ韓単にプレイが可能にも関わらず、プロのレーシングドライバーがトレーニングで使用するほどのリアル感を備えることはクルマ好きであれば有名です。
その秘密は、1台のクルマを表現するためのシミュレーションモデルの複雑な「パラメーター」です。これはカタログに載っている寸法/車両重量などの諸元のみならず、サスペンションのバネレートやダンパーの減衰力、さらにはバンプラバーまでのストローク/硬さ/ダンピングなどをはじめとする細部のデータを自動車メーカーから提供してもらうことで、バーチャル上でリアルモデルを完全再現することが可能となっています。
ちなみにグランツーリスモが世代を重ねる毎にリアル度が増している要因のひとつは、パラメーターの進化(=増えている)が大きいそうです。
実車からバーチャルモデルが可能であるということは、逆もしかりでまだ世に出ていないモデルもバーチャル上で事前に再現可能を意味します。つまり、RX-VISION GT3 CONCEPTはまさにそんな経緯で生まれたモデルということになります。
今回は、RX-VISION GT3 CONCEPTをゲーム上で試乗。今回使用のステアリングコントローラーはThrustmasterのハイエンドモデルとなる「T-GT」、シミュレーターコクピットはNext Level Racingの「GTultimate V2」と最高の環境下での試乗となりました。
ちなみに筆者(山本シンヤ)は、古くからグランツーリスモシリーズをはじめとするドライビングシミュレーターの愛用者で、あるJAF公認レースに参戦する際に、事前に練習走行する時間がなくバーチャル走行のみで挑んだことがありますが、予選タイムはリアルとバーチャルでコンマ数表差、決勝は優勝という経験があります。
RX-VISION GT3 CONCEPTの外観デザインは、ロングノーズショートデッキのFRスポーツの王道ともいえるクーペフォルムはそのままに、ワイドフェンダー化や空力デバイスの追加し、さらに車高をギリギリまで下げられています。
ちなみに魂動デザインは無駄をそぎ落とす「引き算の美学」がポイントですが、筆者はGT3コンセプトを見て無駄をそぎ落としたうえであえて無駄を足すことでワクワク/ドキドキという高揚感を生む新たな“美しさ”がプラスされたと感じました。
視界をコクピットビューにすると内装が見えます。シンプルながらも力強さを追求したデザインはRX-VISION譲りですが、レース用メーター/ステアリング、バックモニターと操作系が集約されたセンターコンソールなど機能性を重視しています。
パワートレインは「SKYACTIV-R」。自然吸気4ローターで排気量は2600cc(654cc×4)、最高出力は570馬力/9000rpm、最大トルク540Nm/7500rpmと公表されています。
排気量から推測すると1991年のル・マン24時間で総合優勝した787Bに搭載の「R26B」をベースに、最新のスカイアクティブテクノロジーを盛り込んだユニットと考えていいと思います。トランスミッションはシーケンシャル式の6速を採用。
アイドリングはレーシングロータリーとは思えないくらい安定しています。実用域はさすがにトルクの薄さを感じるものの、5000rpmくらいを境に力強さを増す性格でレブリミットの9500rpmまでスムーズに一気に吹け上がります。
ほかのGT3マシンのように低速域からモリモリと湧き出るトルク感ではなく回転でパワーを搾り取る特性は、最近のレーシングマシンにはない新鮮さを覚えます。
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