マツダ車爆速!? 「RX-VISION GT3 CONCEPT」を仮想試乗 ロータリー音も再現
ロータリーサウンドも再現!? 実際のサーキットでの印象は?
サウンドは音量こそかつてのロータリーより控えめですが、金属音が混じった甲高いサウンドは爽快で心地よさを感じました。
レーシングスピードではデフォルトのギア比が絶妙なのも相まって、いくつかのサーキットを走ってみた限りはトルクバンドを外すことはほとんどありません。
最高速は未計測ですが、ニュルブルクリンク北コースのストレートで280km/hオーバー(6速で8500rpmから8700rpmくらい)を記録しました。
フットワーク系はノーマルに対して低重心化やワイドトレッド化(フロント・1720/リア・1760mm)がおこなわれ、前後重量配分はトランスアクスル化も相まって48:52を実現。
軽量化も頑張っており車両重量は1250kgに抑えられています。サスペンションはフロント・ダブルウィッシュボーン、リア・マルチリンク式を採用、タイヤは前後同サイズでミシュラン製310/700-18を履きます。
その走りは最終型のマツダ「RX-7(FD3S型)」をより“研ぎ澄ました”という印象を受けました。
ワイドトレッド化や大径タイヤは応答性の低下を招きがちですが、RX-VISION GT3 CONCEPTはステアリングを切る→ノーズの入りに遅れがないので、狙ったラインへのコントロールが非常に楽です。
また、軽量コンパクトなロータリーエンジンを車両中心にレイアウトするメリットも活きておりアンダーステアも最小限。
具体的にいうと、筑波サーキットのダンロップ先の80Rで他銘柄のGT3マシンはフロントの重さに耐えられず外に孕んでしまいますが、RX-VISION GT3 CONCEPTはオンザレールで曲がっていきます。タイヤの情報もステアリングを通じてシッカリ伝わってくるので、安心感も非常に高いです。
俊敏なフロントに対しリアのスタビリティは非常に高いレベルで、タイトコーナー脱出時でも確実にタイヤに駆動を伝えますが、低速コーナー進入時にリアの動きが若干ナーバスに感じたのがちょっと気になりました。
ちなみに空力が効く高速コーナーは気にならなったので、もう少しメカニカルグリップが欲しいなと思います。ただ、今回は購入したままの状態で走らせたので、セットアップ変更で改善できるレベルでしょう。
最後にタイムアタックをおこないましたが、筑波サーキット2000は54秒615を記録しました。今回は限られた時間の試乗だったため、もう少し走り込めればタイムが縮むかもしれません。
某自動車メーカーのエンジニアに話を聞くと「GT3マシンはノーマルモデルの延長線上にある」といいます。
つまり、ノーマルのRX-VISIONのポテンシャルも期待が高まります。そのキモとなるロータリーエンジンですが、開発自体は2012年に「RX-8」が生産中止となった以降も継続されています。
レンジエクステンダーとして復活の話は聞いていますが、やはり直接駆動するロータリーエンジンを待っている人は多いのではないでしょうか。
とはいっても、市販化までには非常に大きなハードルがあるのも事実です。しかし、マツダ自身「我々が存在する意義、挑戦する価値があるユニット」、「マツダの技術者は課題が大きければ大きいほど、高ければ高いほど挑戦する」、「高い目標がないと社員が迷ってしまうので」と語っていますが、そのときがやって来るまで筆者はバーチャルで運転訓練を続けていきたいと思っています。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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