アウディ「クワトロ」が40周年! 記念すべき初代クワトロはどんなクルマ?
WRCの歴史、高性能スポーツカーの歴史の改革者となったアウディ・クワトロ
アウディ・クワトロの登場は、高出力・高性能スポーツカーの世界に、まさしく激震ともいうべき影響を与えることになった。そのパフォーマンスを初めて世に知らしめたのは、ラリー競技での活躍である。
アウディがワークス体制でラリーへと進出するというニュースが報じられた際には、当時としては大柄なボディに複雑な4輪駆動システムを持つことから「ラリーカーとしてはヘビー過ぎる」と危惧する批評がメディアに散見された。
ところが当時のFIAレギュレーションにしたがって、まずはグループ4にホモロゲートされたアウディ・クワトロは、1981年シーズンから世界ラリー選手権(WRC)にフル参戦。
ハンヌ・ミッコラ選手がいきなり2勝を挙げたほか、ミシェル・ムートン選手が第8戦「サン・レモ・ラリー」にて女性初のWRC優勝も果たすことになった。
そして、本命であるグループBにホモロゲートされた翌1982年シーズンには、スティグ・ブロンクビスト選手も加入し、この年コンストラクター(製造者)部門の世界タイトルを初獲得。
さらに翌1983年シーズンにも、エースドライバーのミッコラ選手にドライバー部門タイトルをもたらすなど、ラリー界にドラスティックな一大革命をもたらす原動力となったのだ。
この結果、グループB時代とそれに続くグループA時代以降のラリー界では、ターボチャージャー+4WDが必須条件となり、ランチア「デルタHFインテグラーレ」やトヨタ「セリカGT-Four」、三菱「ランサー・エボリューション」、スバル「インプレッサWRX」などのフォロワー車が続々と登場することになる。
また市販スポーツカー/スーパーカーの分野においても、ポルシェやランボルギーニなど超高級ブランドの最高性能モデルは、いまや4WDであることが当たり前の時代となってしまっている。
もちろん、オンロード用フルタイム4WDの創造主たるアウディにおいても、クワトロの技術を継承するモデルが数多く誕生した。そして誕生から40年を経た現在でも、すべてのアウディ製4WD車が「クワトロ」名を掲げている。
すべての起源であるこの元祖クワトロは「オリジナル」を意味するドイツ語の接頭語「ur」がついて「urクワトロ」と称されることもあるようだが、筆者はWRCの現役時代にホイールベース短縮/ハイパワー版の「スポーツクワトロ」との区別のために呼ばれた「ビッグクワトロ」の愛称を、あえて推すことにしたい。
このモデルは「ビッグ」の名こそ相応しい偉大な一台。自動車史上に冠たる至宝であることを、将来にわたって記憶に残すためにも。
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