災害時の避難どうする? コロナ感染問題が話題に! 一部では車中泊を推奨
避難所として車中泊する際のポイントは?
では、車中泊をする際にはどんなことがポイントとなり、注意すべきなのでしょうか。前出の代表者は次のように話します。
――実際に、車中泊訓練ではどんな取り組みがおこなわれたのか教えてください。
車中泊の訓練は、それぞれふたつの地域に分かれておこないました。各地域で3家族ずつ参加したため、合計20人程度になります。参加者は、未就学児から高齢者まで幅広い年齢層の方々が揃っています。
まず、ひとつの地域ではソーシャルディスタンスを守るために、駐車場のクルマを千鳥格子状に停めます。前方左右それぞれ2.5メートルの感覚を開けるように意識しました。
もう一方の地域は、地形の問題により千鳥格子の駐車が難しいため、それぞれのクルマの間隔が空くように工夫をしてもらっています。
食事は、炊き出し方式と、ご飯だけを炊いてレトルト食品を配布する2種類を実施。その結果、炊き出しになると人との接触が生じるため、レトルト食品での対応が最適だと分かりました。
また、エコノミー症候群にならないよう、時間を決めてラジオ体操を導入し、クルマごとに交代で散歩に出かける取など、同じ場所にいることでストレスにならないような配慮も心がけています。
――訓練をおこなった結果、改めて気づいたことや今後の課題はありますか。
ひとつ目は、車中泊であってもトイレや物資の配布時は人が並ぶので、密集してしまうことです。これを避けるために、トイレはクルマのなかでも使用中だと分かるように、飛行機や新幹線のような使用中ライトを付ける取り組みを導入するべきでしょう。そして、物資は各クルマに渡すようにすることです。
また、車中泊は避難所のように名前を書いて把握できないため、誰がどこにいるか分からない点が問題視されます。
これは、熊本地震での教訓です。その結果、物資を受け取れない事態も発生していました。そこで、車中泊による避難時は特定の場所を指定して、分散させないような取り組みをおこなうべきだと考えます。もしくは、分散しても管理できるようなアプリを作る必要があるでしょう。
実際に、福岡県の福岡市では「ツナガル+」という被災地情報を共有できるアプリを開発していました。GPS機能を搭載しているため、被災者の位置も把握できるようです。岐阜県でも、避難所の周辺に車中泊の駐車場を用意するといった取り組みもおこなっています。
――車中泊による避難をするうえでのアドバイスを教えてください。
車中泊での避難をするときのワンポイントアドバイスとして、ジャージのズボン、靴下、配膳用のトレイを積んでおくのをおすすめします。災害はいつやってくるか分からないので、避難時の服装がスカートやジーパンを履いているケースもあるでしょう。こうした服装は身動きが取りづらく、避難時の生活でも不便になります。
ジャージは、寝る時や作業を行う場合にも支障が出ないほか、そのまま外出することもできるので便利です。また、女性は足元が冷える人も多いので、靴下を常備しておくといいでしょう。実際に、熊本地震の際にもこうした物資が求められていました。
そして、飛沫感染を防ぐためにも、配膳トレイを準備しておきましょう。炊き出しの際など、持参したトレイであれば、配る人も配られる人も安心です。また、車内で食事をする時には机代わりにもなるので便利でしょう。クルマに何枚か常備しておくのをおすすめします。
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このように、各地では熊本地震の教訓をもとに、車中泊の取り組みがおこなわれていました。そのため、行政も車中泊の需要を見込んだうえで、あらゆる対策に取り組むことが今後の大きな課題といえるでしょう。
新型コロナ禍による避難所の感染リスクを防ぐためにも、車中泊は効果的な手段のひとつです。今後の課題はあるものの、現状の避難所不足による問題を解消する一手になります。
ただ、なかにはクルマを持っていない家族もいます。こうした人が優先的に避難所を利用できるよう、マイカーを持っている人は車中泊による避難を検討してみてください。
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