同じメーカーで同サイズのタイヤなのに… なぜ商品によって値段に差があるの?

街のカーショップやタイヤ専門店で販売されているタイヤだが、同じサイズでも高いものから安いものまで、2倍以上の販売価格の差があることもしばしば。それも同じメーカーのタイヤでも、ブランドによって大きく価格が異なっている。タイヤは、そのほとんどがオープン価格となっているため、もともとの値段がわかりにくいのだが、それにしてもなぜ、すべて見た目は同じような黒くて円いタイヤに、これほど販売価格差が出てくるのか。

国産メーカーの場合、同ブランドで数種類のスタッドレスタイヤが同時に販売されている

 タイヤショップに行くと、同じサイズでもその販売価格はピンからキリまである。

 もちろん、一流メーカーとして名がとおったタイヤは高価で、アジアンタイヤと呼ばれるものやプライベートブランドのタイヤが安いのは理解できる。だが同じメーカーで、同じタイヤサイズを比べても、商品によって大きな販売価格の差があるのはなぜなのだろうか。

 ブランドによっては、戦略的に販売価格の差をつけているというのもある。

タイヤの開発には膨大なコストがかかる。性能が良いタイヤをつくるのには製造コストもかかってくる
タイヤの開発には膨大なコストがかかる。性能が良いタイヤをつくるのには製造コストもかかってくる

 わかりやすいのは、スタッドレスタイヤだ。最新モデルは高価だが、従来モデルは手ごろな価格で販売するというものだ。

 この従来モデルというのは、何年か前に製造した古い在庫品ということではない。国産タイヤメーカーがおこなっている手法だが、最新モデルを「プレミアムスタッドレス」、従来モデルを「スタンダードスタッドレス」という位置づけるマーケティング戦略で、スタンダードスタッドレスの価格を抑え、より購入しやすいようにしているのだ。

 もちろん最新モデルにはアイスバーンでの制動距離がより短くなったとか、すり減っても冬道でのグリップ低下が小さいなどのメリットがある。最高の性能を求める層は、価格が高くても買うわけだ。

 最新モデルのタイヤが高いのは、最新の技術、とくにトレッドコンパウンド(ゴムの配合)技術を採用しているのも大きな理由だ。ナノという100万分の1ミリメートルというレベルの配合を研究しているため、こうした長年にわたる研究開発は、どうしてもコストが上がってしまう。

 従来モデルを安くできるのは、工場の設備投資がある程度償却できたということもあるだろう。

 タイヤは1サイズごとに「モールド」というお釜のようなものをつくる。タイヤのトレッドパターンは、このモールド内側の模様が写ったものだ。モールドは、細かいトレッドパターンを手づくりしていくわけで、ひとつ数百万円もする。これを何年か使えば減価償却されるため、販売価格を下げても採算が取れるということだ。

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 ではサマータイヤを比べると、同じメーカーの最新モデルで同じサイズでも、ブランドや商品によって価格が異なるのがあるのはなぜだろう。

 エコタイヤ、スポーツタイヤ、コンフォートタイヤなど商品のコンセプトに合わせ性能を追求して作っていくと、コストが上がり販売価格に反映しなければならない。

 最近はエコタイヤの性能をラベリングで表すようになった。タイヤは基本的に転がり抵抗を小さくすると、ウエットグリップが低下するという二律背反の面が出てくる。だから単にエコ性能だけでなく、ウエットグリップの安全性も表示するグレーディングシステム(等級制度)をJATMA(日本自動車タイヤ協会)が設けた。

カー用品店で販売されているタイヤ。「低燃費タイヤ」はエコ性能とウエット性能がグレーディング表記されている
カー用品店で販売されているタイヤ。「低燃費タイヤ」はエコ性能とウエット性能がグレーディング表記されている

 転がり抵抗の等級はAAA、AA、A、B、Cの5段階、ウエットグリップの等級は、a、b、c、dの4段階で表記される。

 このうち、転がり抵抗がA以上で、ウエットグリップがaからdの範囲内のタイヤを「低燃費タイヤ」と定義している。

 転がり抵抗がAAAでウエットグリップがaというのが最高ランクになるが、これは相当高価なトレッドコンパウンドを使わなくてはできないので、当然販売価格も高くなってしまう。転がり抵抗が小さなタイヤを履いて燃費を良くすればガソリン代も安くて済むが、雨の日にスリップしてぶつけたら大損害になってしまう。だからウエットグリップは大事なのだ。

黒くて円いゴムなのに…タイヤの価格差の理由を画像でチェック(17枚)

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