同じメーカーで同サイズのタイヤなのに… なぜ商品によって値段に差があるの?
スポーツタイヤは総じて高いコストがかかっている
スポーツカーに乗っていて、もっと燃費を良くしようとエコタイヤに履き替えるというのはお奨めしない。エンジン性能やサスペンションがちゃんとグリップ力があるスポーツタイヤを履いている前提でセッティングされているからだ。最新のスポーツタイヤは、以前に比べたら転がり抵抗も小さくなっている。
そして、スポーツタイヤは総じて値段が高い。
その理由は、まずは使われている材料だ。ハイパフォーマンスタイヤと呼ぶスポーツタイヤも、専用のトレッドコンパウンドにお金がかかる。
舗装路でのグリップアップを狙ったコンパウンドは、サーキットを周回してタイヤ温度が上がってもグリップダウンしないようにしたり、強い力がかかってもチャンキング(トレッド面の一部が剥離する)やチッピング(ゴム欠け)などがおきないゴムを開発しなくてはならない。
一般的なタイヤはトレッドゴムの内側にスチールベルトが2枚重ねてあるが、スポーツタイヤではそれをアラミドと呼ばれる繊維に置き換えているものが多い。
これはスチール繊維の5分の1の重量で引っ張り強度は7倍といわれるもので、ハイパフォーマンスタイヤには必須の材料だ。クルマを高速で走行すると遠心力でタイヤが膨らもうとするが、アラミド繊維のベルトがそれを抑えてくれるから高速耐久性も良くなる。
またタイヤ重量が軽いということは、スポーツカーにとってバネ下重量が軽くなり、ハンドリング性能と乗り心地が良くなるというメリットも大きい。しかしアラミドのコストは高く、それが販売価格にも跳ね返っている。
コンフォートタイヤも販売価格が高いものが多い。ラグジュアリー志向のタイヤはそれほどのグリップアップは狙っていないが、安全性向上のためにウエットグリップが高いコンパウンドを採用している。
重要なのは乗り心地と騒音などの快適性だ。ベルトにはアラミドを使っているから高くなる。偏平タイヤになると路面からの衝撃がタイヤを太鼓にしたような音がする。パカン、パカンというこの音をキャビティノイズ(空洞共鳴音)というが、タイヤ内部にウレタンやスポンジを貼ることによってその音を吸収しているものもある。
このように同じタイヤサイズでも、そのタイヤのコンセプトによって材料も構造も違っているためにコストが変わり、それが販売価格に反映されるということだ。
では、サイズが違ったらタイヤの販売価格はどうなっていくのか?
同じクルマに履くタイヤでも、1インチアップ、2インチアップにするとタイヤの販売価格は高くなっていく。外径は同じでも、ホイール径が大きくなる。つまり偏平タイヤになるほど製造が難しいので、そのぶん価格も上がるのだ。
製造国によっては激安タイヤも存在するが、自動車メーカーにOEM(新車装着)されていないメーカーのブランドは選ばないほうが無難だろう。摩耗やバランス、ユニフォミティ(構造上の均一度)などの基本性能がイマイチなケースもある。
ネットショップなどで、有名ブランドが激安タイヤとして販売されている場合もあるが、見た目は同じでもB級品とか、製造が古いものを手にしたという話も聞く。製造年週の4桁(週と年)は、タイヤのサイドウオールに書いてあるからチェックしよう。
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