値段も普通の救急車の4倍!? 日本初8000万円超のEV救急車を東京消防庁が導入した理由とは

EV救急車が運用される「デイタイム救急隊」とはどんな組織?

 前述のデイタイム救急隊とは2019年5月に発足した、その名の通りデイタイム=昼間に救急活動をおこなう組織です。発足時点ですでに、EV救急車を2020年3月末までに導入することが公表されていました。

EV救急車の車内の様子
EV救急車の車内の様子

 池袋消防署の管轄である豊島区内では救急車の要請が昼間に多く、平均で12件から13件の出動要請があります。現場到達時間も平均で昼間は7.5分、夜間は6.5分と昼間が長め。そこで、昼間の救急体制を充実強化する目的で、デイタイム救急隊が組織されました。

 また、デイタイム救急隊のもうひとつの大きな目的は、職域拡大による働き方改革の推進です。おもに救急資格を保有する女性職員が仕事と育児を両立できるように配慮されています。

 救急資格を保有する女性職員が、育休を終えて職場に復帰しても、ただちに24時間交替制の救急隊へ勤務することは容易ではありません。

 そこで対象となる女性職員の勤務を昼間(平日8時30分から17時15分)に限定して、仕事と育児が両立しやすいよう配慮されているのです。

※ ※ ※

 救急車がEVであることに注目が集まりそうですが、じつはほかにも大変注目すべき装備があります。それは消防救急車(ドクターカーなどを除く消防署で運用される救急車)としてこの度初めて導入された電動ストレッチャーです。

 電動ストレッチャーは腕力に頼らず、患者を安全に救急車両に収容できるので、落車のリスクをなくし、救急隊員の体の負担を大幅に低減することが可能となっています。

 デイタイム救急隊はとくに、仕事と育児を両立させる救急資格を持った女性隊員の活躍が設置目的のひとつでもあるため、電動ストレッチャーの導入は非常に画期的なことといえるでしょう。

 ちなみに、今回のEV救急車に採用された電動ストレッチャーは、東京モーターショー2019の日産車体ブースにて展示されていたものと同じ「Power-Pro」ブランドの製品です。

 モーターと油圧の両方を活用した「電動油圧昇降システム」を採用することで、「昇降ボタン」を押すだけで最高位105cmから最低位36cmまで無段階に昇降位置を設定でき、心臓マッサージや救命処置などを最適な位置でおこなえます。

 さて、この素晴らしい機能を備えたEV救急車。気になるのはその価格ですが、東京消防庁への取材によると「8142万円」という回答でした。

 その後、東京都の入札情報サービスで確認したところ、令和元年(2019年)5月15日に「特殊救急車(電気自動車)」として日産から8142万5570円で採用(購入)されたことがわかりました。

 一般的な救急車が2000万円から2500万円程度のところ、約3倍から4倍ほどの価格となる超高額なEV救急車。東京2020大会期間中の警戒活動や応急救護活動においても活用が予定されています。

 お値段以上の活躍を期待したいですね。

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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1件のコメント

  1. 活躍しないほうがいいんだよ。

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