ライバル比較! ルノー「カングー」のオーナーから見たシトロエン「ベルランゴ」の○と×とは
2019年10月に日本デビューをはたしたシトロエンのMPV「ベルランゴ」。オンライン予約の開始から5時間半で予約分がいっぱいとなったという人気のモデルは、日本でもファンが多いルノー「カングー」と比較してどうなのか。オーナー視点でベルランゴを斬ってみた。
後席スライドドアを持つ「フルゴネット」と呼ばれる2台
シトロエンの新型MPVが「ベルランゴ(BERLINGO)」だ。
日本での本格導入は2020年の秋を予定しているモデルだが、まずはその前、「デビューエディション」を2019年10月にオンラインのみで予約を受け付けたところ、予約開始5時間半で予約枠が満枠になり、急遽生産枠を確保し追加で予約を受け付けたというほど、人気になっているモデルだ。
ヨーロッパでは「フルゴネット」と呼ばれる、商用車をベースとしたMPV。日本ではなんといってもルノー「カングー」が人気だ。
初代カングーは2002年に日本に上陸、2006年のマイナーチェンジで顔のデザインが変更された。そして2009年に現行型となる2代目が日本で発売され、2013年のマイナーチェンジでフロントデザインが変わっている。
初代前期型/後期型、2代目前期型/後期型に加え、2010年に登場したカングーの3ドアショートボディバージョン「カングー ビボップ」と、現在まで5つのバリエーションがあるカングー。毎年登場する限定車「カングー クルール」(フランス語でカラー【色】の意味)などを合わせると、そのボディカラーは80色とも90色ともいわれている。
毎年開催されるイベント「カングー・ジャンボリー」では、1700台を超えるカングーが集合。オーナーミーティングとしては日本でも有数の規模となっており、ルノー・ジャポンの広報によると「カングーのイベントとしては間違いなく世界一の規模になります」という。それほど、日本人の琴線に触れるモデル、ということになるのだろう。
新たに日本に上陸したベルランゴを、そんなカングーと比較してみる。
スリーサイズ:ベルランゴがひと回り大きい
ベルランゴのスリーサイズは、全長4403mm×全幅1848mm×全高1844mm。対するカングーは全長4280mm×全幅1830mm×全高1810mmとなる。
比較すると、ベルランゴはカングーよりも全長で123mm、全幅で18mm、全高は34mm大きいことになる。実際に室内では、通常の5人乗車時での荷室の広さがベルランゴのほうが圧倒的に広く感じる部分だ。
実際に運転してみると、カングーと全幅が18mmしか変わらないというのがちょっと意外に感じる。
スクエアなボディなのでどちらも車両感覚はつかみやすいのだが、ベルランゴはAピラーが太めのため、とくに左側に気を使う場面があった。ただし、ボタンを押すと左サイドの映像がルームミラーに映る「ブラインドスポットモニター」を標準装備しているので、路肩に寄せるときなどはこれを使うと良い。
パワートレイン:良くも悪くもディーゼルっぽくないベルランゴのエンジン
ベルランゴは130ps/300Nmを発生する1.5リッター直4ディーゼルターボエンジンを搭載する。これはプジョー308に設定されたばかりの1.5リッターディーゼルと同じものになる。
このエンジン、じつにスムーズに高回転域まで回っていくタイプで、かなりガソリンエンジンに近いフィーリングだ。回転計も7000rpmまで刻まれ、5500rpmからレッドゾーンになっている。
1750rpmから最大トルクを発生するが、ボディが1590kgと重めのため、軽快に走らせようと思うとアクセルペダルを踏みがちになり、エンジン回転を上げる走りをしてしまう。こういうところもディーゼルモデルらしくないところだ。
ベルランゴのトランスミッションは8速AT。パドルシフトを標準で搭載する。ディーゼルとはいえ排気量の小さいエンジンだから、積極的に変速したくなる。
対するカングーは、115ps/190Nmを発生する1.2リッター直4ターボエンジンを搭載。トランスミッションは6速EDC(DCT)のほかに6速MTも用意するのがルノーらしい。
4速ATしかなかった時代にはカングーのMT比率はなんと40%台だったが、6速EDCが設定されたことで10%台に落ち着いた。それでも10%のオーナーがMTを選ぶのだから、なんとも不思議なクルマだ。
エンジンスペック的にはベルランゴのほうが上だが、車両重量が1430kg(6速MTモデル。6速EDCは1450kg)とベルランゴよりも軽いため、軽快に走ることができる。
燃費はカングーがJC08モードで14.7km/L。ベルランゴは発表されていないが、今回の高速走行中心の試乗では、16km/Lほどの結果だった。ただし、カングーの燃料がプレミアムガソリン、ベルランゴは軽油なので、長く乗れば乗るほど燃料コストの差は大きくなる。
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