「うわっ汚すぎ…」汚れすぎたクルマは違反? 故意でなくてもNGな事例とは
時々、非常に汚れたクルマを見かけますが、汚れがひどすぎる場合は運転などに支障が出ることが考えられます。問題はないのでしょうか。
クルマの汚れ、限度はどれくらい?
時々、驚くほど汚れているクルマを見かけます。ボディの汚れならまだしも、フロントガラスやナンバープレートが汚れていれば、運転や取り締まりに支障が出ることも考えられます。果たして、問題はないのでしょうか。
まず、道路交通法第70条には「安全運転義務」について、以下のような記載があります。
「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」
これに違反した場合は「安全運転義務違反」とされ、違反点数2点、反則金は普通車で9000円となっています。該当する行為は、運転操作不適、漫然運転、脇見運転、動静不注意、安全不確認、安全速度違反、などです。
交通事故の原因としてもっとも多いのは、この安全運転義務違反です。警察庁によれば、令和元年度においても人対車両・車両相互・車両単独のどの状況でも、事故原因として最多になっています。
そして、主にフロントガラスなどの「視界」に影響する箇所の汚れは、この安全運転義務違反に該当する可能性があります。
ガラスクリーナーなどのカー用品を製造する企業がおこなった調査では、窓ガラスの汚れが原因で5人に1人がヒヤリハットを経験しているとの結果が出ています。さらに、汚れていない状態と比較すると事故率が約3倍になる、という結果も出ています。
汚れによって前が見えにくくなることで、一時停止線や進入禁止の標識を見落とす可能性もあります。法律に規定されていないとしても、洗車によってガラスの汚れは丁寧に落とすようにしましょう。
クルマに関する法律は道路交通法だけではありません。クルマの見た目に関しては「道路運送車両法」があり、とくにナンバープレートに関しては厳格に規定され、故意でなくても罰則を科される可能性があります。
道路運送車両法第19条には以下の記載があります。
「自動車は、(中略)自動車登録番号標を国土交通省令で定める位置に、かつ、被覆しないことその他当該自動車登録番号標に記載された自動車登録番号の識別に支障が生じないものとして国土交通省令で定める方法により表示しなければ、運行の用に供してはならない」
つまり、決まった位置に見えやすく設置する必要があるのです。なお、ナンバープレートを故意に隠すだけでなく、泥はねなどによって見えなくなった場合も該当します。
違反した場合は刑事罰となり、50万円以下の罰金となります。
さらに、ナンバープレートを「故意に見えなくする」行為は、同法11条にて明確に禁止されています。違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
悪質と判断された場合は懲役になる可能性が高いとのことで、ナンバープレートの改造行為は絶対にNGです。
実際に取り締まりをおこなう警察官は次のように話します。
「昔は、ガラスの汚れによる視界不良が原因の事故はありましたが、今ではほとんどありません。
最近たまにあるのは、スマホ画面がガラスに反射して視界を妨げ、事故に繋がるといったケースです。ながらスマホは厳禁ですが、画面がついたスマホを持ちながらのハンドル操作も危険です。
ナンバープレートは、規制の強化でカバーの装着が禁止されたことから、わざと汚してナンバーを隠す車両が増えたと聞きます。実際に取り締まりをしたことはありませんが、警察官が注意深く見ているポイントのひとつですので、絶対にやめましょう」
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ガラスの汚れは、「常識的な範囲」であれば問題ないとのことです。しかし、ナンバープレートの汚れは、不本意に隠れてしまっても刑事罰の対象となる可能性があるため、要注意です。こまめな洗車を心がけましょう。
なお、洗車機ではなくセルフ洗車の場合、汚れを落とす際は「水洗いで優しく落とす」のが鉄則です。ナンバープレートはアルミ製のため、コンパウンド入りの水アカ取りやワックスでこすると傷がついたり、塗装が剥げたりして劣化の原因になります。
汚れが落ちにくい時は、水に加えてキッチン用の中性洗剤を使ってもいいでしょう。
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