現在、クルマのデザインは流行を取り入れる傾向にありますが、かつては各メーカーが個性を主張するために、非常にユニークなものが存在しました。

　また、いまでは見られなくなったようなアイデアが盛り込まれたクルマも存在します。

　そこで、遊び心のあるデザインや装備のクルマを3車種ピックアップして紹介します。

●スズキ「X-90」

　1993年に開催された第30回東京モーターショーのスズキブースに、1台の奇妙なカタチのコンセプトカー「X-90」が展示され、来場者から注目を浴びました。

　そして、2年後の1995年に市販化されることになると、さらに話題となりました。

　市販モデルの車名はそのままX-90とされ、コンパクトSUVの「エスクード」をベースに、ボディはTバールーフの2シーターと、一見するとSUVには見えないほどユニークです。

　パワートレインやドライブトレインもエスクードと共有され、エンジンは1.6リッター直列4気筒でトランスミッションは5速MTと4速ATが選べ、駆動方式はパートタイム式4WDを採用。

　このユニークなスタイルは海外でも話題になり、輸出されました。しかし、日本では2シーターのSUVに需要がなく、わずか2年ほどで販売を終了します。

　コンセプトカーが高評価だったにも関わらず、実際に発売してみると売れなかったという、残念な結果となりましたが、記憶に残る名車です。

●ホンダ「シティ」

　1981年に、シビックが2代目にモデルチェンジした際にボディサイズが大きくなったため、初代シビックに代わるリッターカークラスのモデルとして発売されたのが「シティ」です。

　シティはそれまでのコンパクトカーの常識を覆す高い車高と短いフロントノーズ、全体を台形としたデザインなど、非常にユニークなモデルでした。

　限られたサイズのなかで人が乗る空間は広く取り、エンジンなどが収まる空間は小さくするコンセプトで開発され、機能美ともいえるデザインはユーザーから絶大な支持を受けます。

　また、ハンドルやステップが折り畳めるコンパクトな原付バイク「モトコンポ」を同時に発売。シティのトランクにモトコンポを搭載できるという、ホンダらしさあふれる斬新なアイデアが採用されました。

　初代シティは大ヒットし、後に「シティ ターボ」「シティ カブリオレ」「シティ ターボII」、さらにハイルーフの「シティ マンハッタンルーフ」とラインナップを拡充。

　また、商用バンの「シティ プロ」もあり、オープンカーと商用車が同じ車体を共有するという世界的にも稀なモデルです。