2023年に車検証がICカード化!? 車検証が紙から電子化される理由とは
なぜ今になって車検証を電子化に踏み切ったのか…
車検証は、「道路運送車両法」で規定されているもので、同法は1951年から公布されました。それ以来、車検証は長らく紙のままで維持されてきました。国土交通省は、なぜ今になって車検証のICカード化に力を入れようとしたのでしょうか。
これまで国土交通省は「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)」の拡充を掲げてきました。
ワンストップサービスとは「ひとつの場所でいろいろなサービスが受けられる環境や場所」という意味で、自動車の運行に必要な車検申請や車庫証明、自動車諸税の納付などをインターネット上で一括しておこなうことを可能としたサービスです。
24時間365日、どのパソコンからでも手続き可能で、これまでのように運輸支局や警察署、県税事務所などの各機関まで出向く必要がなくなるため、時間や労力の負担が大きく軽減されるメリットがあるとして、OSSの活用が進められていました。
しかし現在、予想に反してOSSの利用があまり伸びていません。国土交通省の発表した資料によれば、「新車・中古車新規登録」「移転登録」「変更登録」「抹消登録」「継続検査」「輸出・解体等」の手続きのうち、約半分を占める継続検査において、OSSの利用率は1.9%にとどまっています。
そこで国土交通省は、OSSの普及率を上げて販売店や整備工場の負担を減らす目的で車検証の電子化をおこなうことにしたのです。
電子化後の具体的な車検の流れは、OSSを利用して車検をおこなったあと、更新された情報をオンライン上で運輸支局などに送信してICカード車検証の内容を更新。車検の有効期間満了日が記載された検査標章(車検シール)はその場で印刷して車両に貼り付けます。
紙の車検証では、直接運輸支局に車両を持ち込んで車検を受ければその日のうちに新しい車検証が交付されますが、販売店や整備工場に車検を依頼した場合には、工場での点検は即日完了しても車検証の交付自体は後日になっていました。
しかし、車検証が電子化されるようになれば、車検時にディーラーや整備工場が車検証のカード情報を読み取り、運輸支局などに送信、ICチップに新しいデータを書き込んで更新手続きをおこなうため、すべての車検手続きが即日完了するようになります。
また、点検・整備などの情報をデータ化することで、販売後の車両に何らかの不具合が発生した場合にも過去にさかのぼって調査し原因を突き止めることができると考えられます。
無保険車両や車検切れ車両の不正車両が走行していた場合には、車両から警報音が鳴るようにして違反をリアルタイムで把握できるようにすることや、各車両の速度と位置情報のデータを活用して、自動運転技術に活用していくことも計画されているとのことです。
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利便性の向上が期待される車検証の電子化ですが、紙からICカード化に変わることで、ICチップに格納された情報が改ざんされたり、データを盗み取られるなどの、新たな危険が出てきます。
2023年の車検証電子化の実施までに、さまざまな課題をクリアにしていく必要がありますが、車検証電子化によって自動車整備業界も変革期に入ったといえるでしょう。
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