応急用タイヤはなぜ変な形? スペアタイヤ搭載車減少でパンクしたらどう対処する?
スペアタイヤ搭載車が減少したのはなぜ?
近年はスペアタイヤを搭載しないクルマが増えてきています。その一番の理由は、乗用車においては、かつてあったスペアタイヤの搭載義務が現在はなくなったからです(トラックなどは必須)。
スペアタイヤがなくても車検に通るのであれば、スペースや重さの面でマイナスでしかないスペアタイヤを、わざわざクルマに積む理由がありません。
また、一度も使用されることなく廃棄されるスペアタイヤも多く、省資源の観点からも非搭載の流れは必然であったといえるでしょう。
スペアタイヤを搭載しない車種が増えたきっかけは、2009年に実施されたエコカー政策です。エコカー補助金の燃費基準を満たすため、各メーカーは徹底的に車両の軽量化に取り組み、スペアタイヤを省くという選択をしました。
その一方で、道路交通法には「故障その他の理由により運転することができなくなったときは、速やかに当該自動車を本線車道等以外の場所に移動するため必要な措置を講じなければならない」とあるため、移動できるようにするための手段は何かしら用意しなければなりません。
そこで新たに搭載されるようになったのが、「応急パンク修理キット」です。タイヤ補修剤とコンプレッサーのセットで、スペアタイヤより圧倒的に軽量かつコンパクトなうえ、タイヤ交換の手間もありません。
使用方法や手順はメーカーや車種によって異なりますが、刺さった釘などパンクの原因には触れずに、タイヤのバルブからタイヤ補修剤と空気を注入するだけと非常に簡単です。
ただし、タイヤの側面を傷つけてしまったり、損傷個所が大きい(4mm以上)場合は応急パンク修理キットでは対応できません。
また、特殊な液剤をタイヤ内部に注入することになるので、場合によってはタイヤやホイールが再利用できなくなってしまうことがあります。
あくまでも応急で走れるようにするだけなので、ディーラーや修理工場まで走れるということを目的としており、その後は新しいタイヤに履き替えることになります。
スペアタイヤや応急的なパンク修理が不要という意味では、「ランフラットタイヤ」の存在も忘れてはなりません。
ランフラットタイヤはサイド部が補強されているため、パンクなどで空気圧が失われても「速度80km/hで80kmの距離(ISO規格)」の走行が可能となっています。
いまではさまざまな車種にランフラットタイヤは採用されていますが、なかでも熱心なのがBMWです。BMWは2003年より標準化を始め、現在は「Mシリーズ」を除くほぼすべてのモデルでランフラットタイヤが装着されています。
ランフラットタイヤはパンクしても走れるというメリットがある一方、価格が高い、乗り心地が硬くなるといったデメリットがあり、なかには普通のタイヤに交換してしまうオーナーもいるそうです。
そうした状況について、BMWの元ディーラーマンは次のようにいいます。
「BMWがランフラットタイヤを導入してからずいぶん経ち、いまのモデルはランフラットを前提に足回りのセッティングがなされています。そのため、普通のラジアルタイヤに交換すると柔らかすぎて、バランスの悪い乗り味になってしまうことがあります。
もしラジアルタイヤへ交換する場合は、スペアタイヤやパンク修理キットなど、いざというときに対応できる装備を車載してください」
※ ※ ※ ※
有事の際に焦らないで済むよう、自分のクルマがランフラットタイヤを装着しているのか、それともスペアタイヤや応急パンク修理キットを搭載しているのかをあらかじめ確認しておく必要があります。
それと同時に、スペアタイヤの空気圧や劣化、応急パンク修理キットの使用期限なども忘れずにチェックしたいところです。
応急パンク修理キットの期限はだいたい4年が多く、スペアタイヤは10年程度でゴムが硬化して使い物にならなくなってしまうこと多いようです。
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