応急用タイヤはなぜ変な形? スペアタイヤ搭載車減少でパンクしたらどう対処する?
タイヤがパンクしたとき、応急処置としてスペアタイヤに履き替えますが、スペアタイヤはなぜ変なタイヤなのでしょうか。また、最近はスペアタイヤが装備されていないことがありますが、万が一パンクしたときはどうしたらよいのでしょうか。
小さなホイールに空気がパンパンなタイヤを組み合わせる理由とは?
パンクやバーストなどによってタイヤが使えなくなったとき、応急的に使用する予備のタイヤとして「スペアタイヤ」が装備されています。
スペアタイヤとして一般的に用意されるのは、標準装着と同じタイヤ・ホイールに加え、完全に応急用に割り切った「テンパータイヤ(Tタイプタイヤ)」と「スペースセイバータイヤ(折りたたみ式タイヤ)」が存在します。
「テンパー」とは「テンポラリー(temporary)」の略で、「一時的」や「暫定の」という意味です。応急用に特化したTタイプタイヤとスペースセイバータイヤの両方をテンパータイヤと呼ぶケースもあるようです。
Tタイプタイヤ(Tタイプ)はあくまでも緊急で使うことだけを想定しているため、タイヤもホイールも非常に簡素で、標準装着されたタイヤよりも幅が細く、径が小さくなっています。
クルマを走らせるのに少々不安を感じてしまうコンパクトさですが、ゴムを硬くし空気圧を高めることで車重を支えます。
普通のタイヤの空気圧がだいたい250kPa以下なのに対し、テンパータイヤは420kPa。スチール製の小さなホイールに空気がパンパンに入ったタイヤの組み合わせは風変わりで、「スペアタイヤは変なタイヤ」といわれるのも無理もないでしょう。
もうひとつの応急用であるスペースセイバータイヤ(スペースセイバー)は、収納時はタイヤに空気が入っておらず、サイドウォール部がたたまれています。
名前の通り、設置スペースを節約できるのが特徴で、使用するときはコンプレッサーなどで空気を入れる必要があります。
スペースセイバーのホイールは、Tタイプより大径で標準タイヤに近いものが多いです。そのため、Tタイプほど空気圧を高める必要がなく、指定の空気圧は標準タイヤとあまり変わらないのが一般的です。それでも幅がだいぶ細いため、ちょっと変なタイヤに見えてしまいます。
どちらの応急用タイヤも見た目が変わっているだけでなく、性能の面でも標準タイヤには及びません。状況にもよりますが、走行可能な距離は100km程度、速度は80km/h程度が限界とされ、グリップ力や制動力も標準タイヤより劣ります。
それにもかかわらず、こうした応急用タイヤを採用するのは一体なぜなのでしょうか。
それは、標準タイヤをスペアタイヤとして採用するより重量を軽くできるということがあげられます。ハンドリングや加減速などの運動性能や燃費性能は、重量の影響が大きく関わってくるため、なるべく軽量化したいという意図があります。
また、スペースの面においても、少しでも居住空間を広く確保するために、見えない部分をミリ単位で切り詰めています。これらのことを考慮すると、大きくて重い標準タイヤをスペアタイヤとして採用するのは、なかなか難しいことだといえるでしょう。
性能面や車重の問題で、応急用タイヤの性能では不安があるクルマには、スペアタイヤとして標準タイヤが装備されることが多いようです。
バックドアにスペアタイヤを配するのが一種のスタイルとして確立され、室内空間に影響を及ぼさないSUVがありますが、近年、背面タイヤ採用車は減少傾向にあります。
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