まるでジェット戦闘機!! 88台限定のアストンマーティン「V12スピードスター」は1億円オーバー!

アストンマーティンのパーソナライゼーション部門が手掛けた「V12スピード」がついにアンベール。およそ1億円のスペシャルモデルは、88人の選ばれし人の元へ。

ジェット戦闘機のデザインがヒント!? 古典と前衛とが入り混じったアピアランス

 2020年3月4日、アストンマーティン「V12スピードスター」がグローバルデビューした。V12スピードスターは88台限定で、車両価格は76万5000ポンド(邦貨換算約1億円超)からとなる。納車は2021年第1四半期から開始される予定だ。

1959年にル・マン24時間を制した『DBR1』からアストンマーティン100周年記念の2013年型『CC100スピードスター』との関連性がわかるデザイン
1959年にル・マン24時間を制した『DBR1』からアストンマーティン100周年記念の2013年型『CC100スピードスター』との関連性がわかるデザイン

 V12スピードスターは、アストンマーティンのパーソナライゼーション・サービス部門である「Q by Aston Martin」が手掛けた。アストンマーティンの豊富なレーシング・ヒストリーだけでなく、航空機デザインからもヒントを得ている。

 プラットフォームはアストンマーティン最新の接着アルミニウム構造を採用し、DBSスーパーレッジェーラやヴァンテージのエレメントを流用。フロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクサスペンションを採用し、コイルスプリングとアダプティブダンピング(スポーツ/スポーツ+/トラックの3モード)が組み合わされる。

 標準装備されるホイールは21インチの鍛造アロイとなり、セントラルロック式だ。ブレーキはフロントΦ410mm、リアΦ360mmのカーボンセラミックディスクが標準装備される。

 このシャーシの上には、ほとんどがカーボンファイバー製となるビスポーク・ボディが架装される。

 アストンマーティン・デザイン・ディレクターのマイルス・ナーンバーガーは、次のようにコメントした。

「敢えて一歩退いて、自分達の過去にインスピレーションを求めました。私たちは、『DB11』以来、常に未来に目を向けてきました。そこで今回は、少し違った観点を採用してみよう、と思ったのです。

 このモデルには、1959年にル・マン24時間を制した『DBR1』からアストンマーティン100周年記念の2013年型『CC100スピードスター』に至る一連のモデルとの関連性を見て取ることができます。また、ミッドセクションは、1953年型『DB3S』の趣を感じさせます。

 V12スピードスターは、アストンマーティン・スピードスター・コンセプトの最新バージョンです。弊社の歴史だけでなく、最新鋭のジェット戦闘機にもインスピレーションを求めて、直感的なエクスペリエンスを体験していただくことを目指して開発・製作しました。だからこそ、V8ではなく、V12を選択しました。V12スピードスターは、ドライバーの感性に最大限に訴えかけるモデルです。

 ルーフもスクリーンもなく、巨大なエンジンと、低く、幅広いショルダー、2個のハンプ、ドライバーとパッセンジャーを分離する背骨のような形状を持つ圧倒的にエモーショナルなスタイリングに仕上げられています。

 低く、しかし軽快なリアエンド、大胆な印象のフロントグリル、特徴的なヘッドライト、『ノストリル』と呼ばれるボンネットのデザインエレメントが、見事なコントラストを描き出しています。ノストリルは、かなり長期間にわって封印されてきたデザインですが、今回のモデルで復活を果たしました。これは、V12を搭載するスペースがあることを視覚的にアピールし、象徴的なベントが創出されています」

ドライバーとパッセンジャーが分離されたエモーショナルなスタイリング
ドライバーとパッセンジャーが分離されたエモーショナルなスタイリング

●アストンマーティンの栄光の歴史を表した限定モデル

 インテリアでも新たな限界に挑戦し、素材面では伝統とモダンが融合されている。構造部材であるサテン・カーボンファイバーと、伝統のハンドクラフト・サドルレザー、クローム、アルミニウム、3Dプリント・ラバーが見事な調和を見せている。

 視覚的にも、物理的にも、インテリアからは重量感がそぎ落とされ、スリムで効率的なスタイルが確立された。その一方で、エモーションなスタイルやクラフトマンシップなど、アストンマーティン伝統のキャラクターはそのまま残されている。パッセンジャー前方、通常はグローブボックスが配置される場所にリムーバブル・レザーバッグを装着したほか、リアバンプ下に収納スペースが確保された。

 V12スピードスターの心臓部には、5.2リッターV型12気筒DOHCツインターボエンジンが搭載される。最高出力700馬力、最大トルク753Nmとなるこのエンジンは、フロントにミッドマウントされる。

 エンジンはオールアルミ製で、ZF製8速オートマチック・トランスミッションと、リア・リミテッドスリップ・ディファレンシャルが組み合わされる。その結果、V12スピードスターは、0-100km/h加速3.5秒、最高速度300km/hを実現した。

 専用のステンレス製エグゾースト・システムを開発され、リアエンド中央、ディフューザーの上に取り回されたエグゾーストからは、野太く、キャラクター溢れるサウンドを生み出すことに成功。

 アストンマーティン・チーフエンジニアのマット・ベッカーは、次のように語った。

「V12スピードスターが提供するスリリングな体験は、他では感じることはできないでしょう。フルオープン・エレメントが、新たなエクスペリエンスを切り拓きます。このクルマは、あらゆるレベルでクルマとドライバーが一体化した、緊張感のある走りの世界を実現しています。

 また、アストンマーティンが誇る5.2リッターV型12気筒ツインターボの圧倒的なパワーに裏打ちされたパフォーマンスと俊敏性は、他に類を見ない純粋なドライブ体験を提供します」

 さらにアストンマーティン・ラゴンダ社長兼グループCEOのDr.アンディ・パーマーは、次のようにコメントしている。

「アストンマーティンは、ユニークで特別なモデルをお届けすることに全力を注いでいます。V12スピードスターは、このコミットメントを完璧に表現しています。

 88台のハンドビルト・カーは、全世界のエンスージアストやコレクター垂涎の的となるでしょう。個人的には、V12スピードスターがドライバーに提供するもの以上に、その象徴的な存在感に興奮を覚えます。このクルマは、弊社のエンジニアリングの可能性と野心を具現化しているだけでなく、アストンマーティンの栄光の歴史を表現しています」

ルーフもスクリーンもない「V12スピードスター」
ルーフもスクリーンもない「V12スピードスター」

 初公開されたV12 Speedsterは、伝説の「F/A-18」に触発されたコンセプト・スペックで仕上げられた。この仕様をそのままオーダーすることも可能である。

 カラーリングは、伝説のジェット戦闘機をモチーフとした、スカイフォール・シルバーで仕上げられ、エキゾースト・チップやベントグリル、ベーンにはマットブラックが採用されるなど、全体として引き締まった印象を演出している。

 暗色系のテーマは、インテリアにも反映され、サテン・ダーククローム、マシンド・アルミニウム、ブラックレザー、ブラック・テクニカルテキスタイル、ブラック・カーペット、アストンマーティン・ロゴが刻印されたビビッドレッドのドアシルなどを配置し、明確なコンセプトを感じさせるスタイリングとなっている。

 世界で88台限定のV12スピード、果たして日本に何台が上陸するか、楽しみだ。

【画像】1億円オーバーのアストンマーティン「V12スピード」の全容(18枚)

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