DOHCエンジンは憧れの存在だった!? 昭和のFRスポーツ5選

DOHCエンジンは、いまでは軽トラックでも搭載しているほど普及していますが、かつてはスポーツカーの象徴でした。そこで、昭和の時代にDOHCエンジンを搭載し、かつFRレイアウトを採用したクルマを5車種ピックアップして紹介します。

DOHCエンジンを搭載したFRこそスポーツカーの証だった

 エンジンの給排気バルブを、2本のカムシャフトで開閉するDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)エンジンは、出力の増大と高回転化には欠かせない存在です。

昭和のころはDOHCエンジンというだけでワクワクした!?
昭和のころはDOHCエンジンというだけでワクワクした!?

 元々はレーシングカーやスポーツカーに搭載され、後に大衆車に広まって、いまでは軽トラックにも採用されているほど普及しています。

 昭和時代にDOHCエンジンを搭載できたのは、スポーティモデルに限られていました。そこで、往年のDOHCエンジン搭載車で、かつFRレイアウトのモデルを5車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」

DOHCエンジンを身近にした「カローラレビン」
DOHCエンジンを身近にした「カローラレビン」

 1970年に登場したトヨタ初代「セリカ」の「セリカ1600GT」に、まだ日本では一部のスポーツカーにしか搭載されていなかったDOHCエンジンを搭載し、世間一般にDOHC=高性能の象徴と認識させることに成功しました。

 そして1972年には、小型大衆車だったカローラとスプリンターのクーペにDOHCエンジンを搭載した「カローラレビン/スプリンタートレノ」を設定。両車の車両型式がTE27型だったので、今でも「ニイナナ」と呼ばれて愛されています。

 外観上での通常のカローラ/スプリンタークーペとの違いは、より太いタイヤが収められるオーバーフェンダーが装着されている点で、搭載されていたエンジンはセリカ1600GTと同じ1.6リッター直列4気筒DOHCの「2T-G型」です。

 当時のプレミアムガソリンを使う有鉛ハイオク仕様の2T-G型は、最高出力115馬力を発揮。レギュラーガソリン仕様の2T-GR型でも110馬力で、約860kgの車体には十分すぎるパワーとなっており、スポーツドラインビングの愛好家たちからは「スカイラインやセリカより速い」と評され、高い人気を誇りました。

●ホンダ「S800」

ホンダならではの精密な高回転を搭載した「S800」
ホンダならではの精密な高回転を搭載した「S800」

 ホンダの小型スポーツカー「S」シリーズの第3弾として1966年に登場した「S800」は、先代の「S600」が最高出力57馬力を8500rpmで発揮する超高回転型DOHCエンジンだったのに対し、排気量が800ccまで拡大されたことで最高出力を70馬力まで向上。

 S600よりも中速トルクが増えたことで、より扱いやすい特性のエンジンに生まれ変わりました。

 この小型直列4気筒DOHCエンジンは、レース用オートバイの開発でノウハウを持っていた、ホンダだからこそ開発できたといっても過言ではありません

 また、S800の初期モデルは駆動方法もユニークで、4輪車では珍しいチェーン駆動を採用したFRでした。

 チェーン駆動の影響により、アクセルのオン・オフで車体が独特の挙動を示しますが、これは「S500」から続いてきたSシリーズならではの特徴として、現在もチェーン駆動のモデルにこだわるファンもいるほどです。

●三菱「ギャランGTO MR」

短命に終わった幻の名車「ギャランGTO MR」
短命に終わった幻の名車「ギャランGTO MR」

 1970年に、スタイリッシュな外観の2ドアファストバッククーペ、三菱「コルトギャランGTO」(以下、ギャランGTO)がデビューしました。

 当時のアメリカンスポーツカーを小さくしたような印象のボディは、たちまち若者から絶大な支持を得ます。

 発売当初に搭載されていたエンジンは1.6リッター直列4気筒SOHCのみでしたが、すぐにDOHCエンジンを搭載した「ギャランGTO MR」をラインナップに追加。

 ギャランGTO MR専用の1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンは125馬力を発揮し、最高速度は公称200km/hを誇ります。

 しかし1972年、排出ガス規制の強化により、ギャランGTO MRの生産を終了。わずかな販売期間と高価なモデルであったことから、いまではかなりの希少車です。

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