モーターショーが異例のネット公開のみ? 新型コロナでショー中止も新型披露会のバーチャル化は何を変えるのか
2020年3月3日におこなわれるはずだったスイスのジュネーブモーターショーは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、報道陣に向けたネット配信での公開というかたちとなりました。モーターショーで自動車メーカーがネット配信のみの記者発表をおこなったのは、今回が初だといいます。これを契機として、今後モーターショーの姿が変わっていく可能性はあるのでしょうか。
モーターショーも「バーチャル化」 ネット開催の可能性は以前からあった?
題して「ヴァーチャル・プレスデー」。世界的なモーターショーであるスイスのジュネーブモーターショー2020で、報道陣に向けた完全ネット配信での公開が2020年3月3日におこなわれました。実施した理由は、世界的な広がりを見せている新型コロナウイルスへの対応です。
これを契機として、今後モーターショーの姿が変わっていく可能性はあるのでしょうか。
スイス政府は2020年2月28日、世界保健機構(WHO:本部スイス・ジュネーブ)が新型コロナウイルスへの警戒レベルを最大級に引き上げたことを受け、国内で実施される1000人以上のイベントの開催中止を要請。
ジュネーブモーターショー2020(一般公開:3月5日から15日)も中止となりました。
報道陣向けのプレスデーは本来3月3日に開催される予定でしたが、ショー主催者は苦肉の策として、当初のプレスデー開催スケジュールに沿って、各メーカー独自の映像プログラムによるヴァーチャルな記者会見を実施したのです。
新型コロナウイルスの影響は日本での新車発表にもおよび、日産が新型「ルークス」発表記者会見を報道陣抜きで横浜本社から中継しましたが、モーターショーとして各メーカーがネット配信のみの記者会見をおこなったのは、今回のジュネーブモーターショーが史上初です。
現地時間の8時15分(日本時間16時15分)、予定通りBMWの会見が始まりました。
収録はジュネーブモーターショーの現地ではなく、各社それぞれが準備したスタジオやイベントスペースでおこなわれています。
中身も司会進行がエンジニアと対話するタイプ、幹部ひとりが画面に向かって語りかけ続けるタイプ、技術論を深堀りするタイプなど、メーカーによって構成はさまざまです。
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今回、偶発的な出来事によって急遽おこなわれた「ヴァーチャル・プレスデー」。じつは、平時においても、このアイディアを採用しようかという動きはは数年前からありました。
以前、フランスのパリモーターショー主催企業の社長から筆者(桃田健史)に「モーターショーの今後の運営方針について、意見が聞きたい」という話があり、アメリカ国内でお目にかかりました。
その際、その当時の社長は「最近のクルマは、外観デザインも似たり寄ったり」、「電動化や自動運転などの次世代技術では、商品の差別化が難しく、メーカーが出展する価値がない」などと厳しい意見を述べた後、「単純に新車を並べ、メディア向けに公開するようなモーターショーのスタイルはもうじき終わる。ヴァーチャルとしてネット配信すれば良い」と、今回のジュネーブモーターショーでの「ヴァーチャル・プレスデー」を予言していました。
彼の言葉のように、2018年のパリモーターショー、2019年のデトロイトモーターショー、同年のフランクフルトモーターショーでは出展者が激減し、ショー全体が寂しい雰囲気になりました。当然、主催者の収益も激減しました。
こうした世界動向は2019年の東京モーターショーにも直撃し、海外メーカーの出展がほとんどないという異常な状態になりました。
それでも、会場の一部を無料入場としたり、これまでモーターショーに来なかったカップル層やファミリー層が楽しめるアトラクションを増やすことで、近年開催のモーターショーとしては異例となる入場者数の大幅増を達成しました。
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