モーターショーが異例のネット公開のみ? 新型コロナでショー中止も新型披露会のバーチャル化は何を変えるのか

プロのプレスメディアは不要? モーターショーの今後の在り方とは

 筆者はこれまで30年以上にわたり、世界各国のモーターショーを現地で取材してきました。いま振り返ってみると、あるタイミングで、メディアやプレスと呼ばれる報道陣とモーターショーとの関係にも変化があったと思います。

東京モーターショー2019のマツダブースで世界初公開された「MX-30」
東京モーターショー2019のマツダブースで世界初公開された「MX-30」

 例えば、プレスキット(報道陣向け資料)についてですが、以前は紙ベースで、写真のスライド(ポジフィルム)がついていました。1990年代になるとプレスキットはどんどん大型化して、百科事典のような分厚いモノもありました。

 各社のプレスキットの量が多過ぎて、持ってきた旅行用スーツケースに入りきらない人も多く、プレスルームの隣にはDHLなど国際配送便の臨時窓口が設けてあり、専用段ボールに詰め込んで配送手続きをしたものです。

 その後プレスキットは、CD-ROM、USBメモリーと小型化し、最近ではQRコードを記載した名刺のようなモノがブース内のカウンターに無造作に置いてあります。プレスキットは消滅し、各メーカーのプレス専用サイトからダウンロードするようになりました。

 そして、今回はプレスデー自体がなくなりました。今回「ヴァーチャル・プレスデー」と称していますが、プレス専用のアクセスコードもなく、リンクのサイトから誰でも視聴できます。つまりプレス自体が要らなくなった、ともいえます。

 世界中でネット社会、スマホ社会が当たり前となり、SNSによる個人の情報配信とプロのプレスメディアのニュース配信との垣根が事実上、なくなりました。もちろん、情報の確かさという点ではプロのプレスメディアの必要性はあると思います。

 だたし、アップルやアマゾンのように、新製品や新サービスの発表を各社独自イベントでおこなうトレンドは、自動車産業でも徐々に始まっています。

 そのため、モーターショーで世界発表をおこない、そこにプレスメディアがいるというスタイルは、将来的になくなる可能性があると思います。独自イベントならば、より充実した内容で時間も長くとることができます。

「ヴァーチャル・プレスデー」は、モーターショーの在り方、そして自動車のプレスメディアの在り方を大きく変えてしまったようです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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