高嶺の花から人気車へ トヨタ「プリウス」登場から23年の変化とは

「歌舞伎顔」で一転、プリウス人気低迷へ

 3代目プリウスのスマッシュヒットを経て、現行の4代目プリウスは2015年に登場します。従来の「トライアングルシルエット」は継承しながらもデザインを一新、守りに入らない攻めのモデルチェンジが話題となりました。

歌舞伎顔をやめて人気が復活した現行「プリウス」
歌舞伎顔をやめて人気が復活した現行「プリウス」

 また、人気アーティスト「水曜日のカンパネラ」とコラボするなど、若い世代へのプロモーションにも注力しました。

 トヨタの新プラットフォーム「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」を搭載、JC08モード燃費では、40.8km/Lを記録。プリウス最大の武器である燃費性能がついに40km/Lを超えたのです。

 しかし、「歌舞伎顔」と呼ばれるフロントマスクデザインは、一部ユーザーから不評となり、2016年では年間24万8258台を販売しスタートダッシュこそ好調でしたが、2018年は11万5462台、ランキングは3位まで落ち込んでしまいます。

 その後、2018年12月のマイナーチェンジでフロントマスクを刷新、人気が回復します。登場から月間トップを連発し、2019年は12万5587台を販売、ランキングも1位に返り咲きました。

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 4代目プリウスについて、前述とは別のトヨタの販売店スタッフは以下のように話します。

「マイナーチェンジ後は、過去にプリウスに乗っていたお客さまからの問い合わせが増えました。歌舞伎顔がイマイチで悩んでいたけど、新しいのは気に入ったから買い換える、というお客さまが多かったのを覚えています。トヨタによる修正の速さと的確さは、我々販売店の間でもさすがだと評判でした」

※ ※ ※

 なお、プリウスはラテン語で「~に先駆けて」という意味を持ちます。その名の通り、世界的な自動車メーカーであるトヨタが、21世紀に先駆けて登場させ、高嶺の花から誰もが知る人気車種となったのです。

 しかし、2020年1月の販売台数では6659台、ランキングは7位に急落しています。その理由を前出のトヨタ販売店のスタッフは「人気すぎる新車が出すぎている」といいます。

 実際に、同月ランキング1位となったトヨタのコンパクトSUV「ライズ」は、走行性能・デザイン性・使い勝手など総合的に優れた車種です。また、2位のカローラは幅広いグレード展開からさまざまなユーザーから人気を集めています。

 さらに、同年2月10日に発売となったトヨタ「ヤリス」などは、WLTCモード燃費で36.0km/hを誇り、プリウスが長年武器としてきた燃費性能に並ぶ程の性能を誇ります。

 強すぎるライバルたちが続々と登場するなか、かつての絶対王者プリウスは、今後どのような進化を遂げるのでしょうか。

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