走る不動産は2億円オーバー! バブルで価格高騰した名車5選

希少なクルマの値段が高騰するのはよくあることで、最近は旧車の高騰が話題になっています。一方、バブル期には限定車や人気のクルマが新車価格以上で取引される現象が起きました。そこで、かつて著しく価格高騰したクルマを5車種ピックアップして紹介します。

数多くの伝説を生んだバブル期にデビューしたクルマ

 バブル経済絶頂期だった平成初期は、巷に輸入車や高級国産車が溢れていました。また、国産車の性能も飛躍的に向上した時代です。

日本のバブル期は、まさに異常な時代!?
日本のバブル期は、まさに異常な時代!?

 そんなバブル経済に後押しされるように、超高性能なモデルや、特殊なモデルが国内外のメーカーから多数輩出されました。

 なかでも限定車や世界中で人気となったモデルが、プレミア価格で取引されるような異常な状況が当たり前の世の中でした。

 そこで、1980年代から1990年代に著しく価格高騰したクルマを5車種ピックアップして紹介します。

●フェラーリ「F40」

フェラーリのスペチアーレのなかでもTOPに君臨する「F40」
フェラーリのスペチアーレのなかでもTOPに君臨する「F40」

 フェラーリが創業40周年を迎えた1987年に発売された「F40」は、まさにバブルを象徴する1台です。

 F40はノーマルの状態でもレースに出られるくらいの性能と装備が与えられたスパルタンなモデルで、フェラーリの「スペチアーレ(特別な限定車)」として、いまでは伝説的なモデルになっています。

 シャシは、当時、最新の複合素材や接着剤などが使われた軽量・高剛性のセミモノコック構造とされ、リアミッドシップに搭載されたエンジンは、最高出力478馬力を誇る3リッターV型8気筒ツインターボです。

 このエンジンは同じく1984年に販売されたスペチアーレの「288GTO」用エンジンをベースにチューニングが施され、公称の最高速度は324km/hと、発売当時の市販車では世界最速をマークしました。

 公道を走れるレーシングカーであるF40には、パワーステアリングはもちろんブレーキサーボすらも装備されず、快適装備も一切無く、とても一般人が運転できるものではありませんでしたが、発表されると世界中のフェラーリ正規ディーラーに注文が殺到。

 ちょうどバブル景気に湧いていた日本でもプレミアが付いて、新車価格4650万円だったものが最高で2億円以上にハネ上がったといわれています。

●ポルシェ「959」

「スカイラインGT-R」にも多大な影響を与えたといわれる「959」
「スカイラインGT-R」にも多大な影響を与えたといわれる「959」

 ポルシェはグループBレース車両のベースとなる新世代のフルタイム4WDシステムを搭載した「959」を、1986年に限定生産しました。

 外観は「911」の全幅を拡大したようなフォルですが、ほぼすべてのパーツが959専用になっており、アラミド系繊維強化プラスチックなど、当時、最先端の素材が使われています。

 搭載されたエンジンはシリンダーヘッドを水冷化し、シリンダーが空冷の半水冷式2.85リッター水平対向6気筒シーケンシャルツインターボを採用。

 最高出力は450馬力を誇り、エアロダイナミクスを追求したボディによって公称最高速度300km/h以上とされていました。

 トランスミッションはスノーモードを含む6速MTで、駆動方式は前後の駆動力を路面状態やコーナーリング時に合わせて自動で制御する可変トルク式4WDを搭載しています。

 内装も911のデザインに準じていましたが、車高調整やダンパー調整のスイッチ、駆動力配分を可視化するメーターなどが追加されていました。

 足まわりはツインダンパーとコイルスプリングを用いた前後ダブルウィッシュボーンを採用するなど、これも911とは完全に別物です。

 グループBホモロゲーション取得のために200台の生産予定でしたが即完売となり、最終的に292台まで増産されました。

 発売当時は日本にも数台の正規輸入と、並行輸入でも入っており、定価が42万ドイツマルク=約3000万円のところ、なかには1億円以上の価格で取引されていたといいます。

 ただし、複雑な駆動システムに起因するトラブルもあったようで、日本で修理できない場合はドイツ本国に戻されたそうです。

●ホンダ「NSX」

現在も異常なほど価格高騰中の初代「NSX」
現在も異常なほど価格高騰中の初代「NSX」

 1990年、F1で常勝となっていたホンダは、世界に通用するスポーツカーを目指して開発した、初代「NSX」を発売しました。

 世界初のオールアルミボディのリアミッドシップに、最高出力280馬力(MT車)を発揮する3リッターV型6気筒自然吸気エンジンを搭載し、1350kg(MT車)と軽量な車体と相まってピュアスポーツカーとして国内外で高い評価を得ます。

 また、地を這うような低いフォルムから「和製スーパーカー」とも呼ばれますが、品質は欧州のスーパーカーを凌駕しており、後に欧州メーカーのクルマづくりに多大な影響を与えたといいます。

 話題性や性能から国内外で大人気となり、日本では発売時点で3年分のバックオーダーを抱え、中古車販売価格が新車価格を大きく上回る状態が続きました。

 当時は国内に比べて納期が短かった、左ハンドルの北米仕様が逆輸入されたほどです。

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