「急な割り込みヤメて!」トラックが車間空けるには意味が… トラック運転手の悲痛な叫びとは

高速道路などを走行中に速度が遅いトラックの前に急な割込みをしたことはないですか? その行為は一生分の損害賠償を請求されるかもしれません。いったい、どのような状態なのでしょうか。

トラックの前に急な割込みは犯罪行為?

 乗用車からすれば威圧感ある上、追い越し車線のノロノロ運転や乱暴な運転をするドライバーが目立つためイメージが良くないトラックですが、運転する大半は「荷物を確実に届ける」ことを最優先するプロドライバーです。

 走行距離も多いため、運転テクニックも素晴らしいです。そんなトラックドライバーにとってもっとも手強いのが、トラックの特性をまったく気にしないで割り込んでくる乗用車だといいます。いったいどういうことでしょうか。

走行中のトラックに対して「急な割り込み・煽り」は危険です
走行中のトラックに対して「急な割り込み・煽り」は危険です

 そもそもトラックにとって「急ブレーキ」は“ほぼ”事故といってよい緊急事態だといえます。大型トラックに使われているエアブレーキ、普通の減速程度ならコントロール可能です。

 しかし急ブレーキを踏むと、急激にブレーキ圧が高まってしまいます。乗用車なら割り込みをされた際、急ブレーキと通常ブレーキの中間的な「丁寧な急減速」も少しのテクニックがあればできます。

 また私(国沢光宏)も大型免許を持っており、たまにエアブレーキ車のハンドル握りますが、滑らかな急減速は実際には不可能だと思います。

 したがって乗用車だと前に割り込んでもホーンを鳴らして抗議するくらいで済むものの、何トンにもなる荷物を積んだ大型トラックだとそうはいきません。加速していれば追突事故の可能性も高まります。乗用車ユーザーからすれば「危なければ急ブレーキを掛ければいいじゃないか」と考えるかもしれません。

 もちろん急ブレーキを掛ければ追突は免れる可能性もありますが、そうなるとかなりの確率で「荷崩れ」を起こすのです。また、荷台をけん引するようなトレーラータイプはケツを振ってしまう可能性もあり、大惨事を起こしかねないのです。

 高速道のSAで休憩しているトラックドライバーに話を聞いてみると、「乗用車とは違い、本当に怖いです。急には止まれないので安全マージンを取って車間も空けてたりします。だから急な割り込みはヤメて! といいたいです。こちらは大事な荷物を預かっているので」と、多くのドライバーが同じようなことをいっていました。

 トラックが運んでいる荷物は多種多彩。精密機械を積んでいるトラックなど、荷崩れすると1億円規模での損害が出てしまいます。そこまで高くなくても、1000万円単位の損害など珍しくなく、急ブレーキ1発で1000万円です。

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