「ジムニー」は本当に人気? 盛り上がるカスタム市場で売上が伸び悩む理由
毎年、1月に開催される日本最大級のカスタムカーの祭典「東京オートサロン」。このイベントに展示されているモデルを見ると、流行りのカスタムトレンドが分かるといいます。そんななか、2020年は「オフロード系SUVのカスタム」が高い注目を集めているようです。しかし、実際には注目されていても販売に繋がらないともいわれていますが、実際に最新カスタム事情はどうなったのでしょうか。
流行りのカスタムは、オフロード系SUV?
33万人以上の来場者を集めた、日本最大級のカスタムカーの祭典「東京オートサロン2020」。会場では個性溢れるクルマが花を咲かせていましたが、2019年に引き続き来場者の注目を集めていたのが、オフロード系SUVのカスタムカーです。
スズキ「ジムニー」をはじめとする50台以上のSUVが出展され、未だに納車が追いつかないジムニーへの渇望感もあるとはいえ、その注目度は高まるばかりです。しかし、なぜオフロード系SUVのムーブメントが起こっているのでしょうか。
今回のオートサロンの会場において、オフロード色の強かった展示のひとつがヨコハマタイヤのブースでした。
ヨコハマタイヤは「ホビータイヤ」という位置づけで、5ジャンルのタイヤをリリースしていますが、そのひとつがオフロードです。商品力訴求のために、フォード「F-150ラプター」の荷台の上に、福岡のコンドーオートがカスタムしたジムニーを載せるという大胆な展示を実施。
その展示について、ヨコハマタイヤの広報担当者は次のように説明します。
「あのブースは、オフロードタイヤだけを強調する目的だったわけではないのですが、ジムニーとラプターの展示には反響をいただきました。
とくにジムニーに履かせたジオランダーX-ATのサイズについての問い合わせを会場で多くいただきました。他社さんもオフロード系の展示が多かった気がしますが、やはりキャンプブームの影響があるのではないでしょうか」
2019年に日本オートキャンプ協会が発表したデータによれば、2018年のオートキャンプ人口は850万人と推定され、6年連続で増加傾向にあるといいます。
ピークだった1996年時点の1580万人には到底及びませんが、東日本大震災以降、確実に回復傾向にあります。オートキャンプ人口の増加に伴って、アウトドアグッズ市場も成長傾向にあり、4400億円規模といわれる市場の中心は、やはりライトにアウトドアを楽しむユーザーです。
昨今は、中高年のソロキャンパーやゆとり世代のキャンパーの増加が注目されており、そのユーザー層に合致しているクルマがSUVです。都内にあるアウトドアショップのスタッフは次のように話します。
「オートキャンプは登山などに比べると技術的な敷居が低いため、これまでアウトドアライフを経験してこなかった層が多く入ってきており、加えてアウトドアファッションからキャンプに入ってくるという人も少なくありません。
そういうユーザーのファッションアイテムのひとつがSUV。単にフィールドに道具を運ぶという目的だけではなく、アウトドアの香りを周囲にアピールするのに重要なアイテムのひとつなんだと思います。
最近では、オートキャンプしかしないのにオフロード系のカスタムをしたSUVに乗っている人が多いです」
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今回のオートサロンで、ジムニーのカスタムカーを出展していた大阪の「Kブレイク」。元々はVIP系のカスタムパーツメーカーですが、初めてクロスカントリー系SUVのカスタムを手がけています。
しかも同社が創り上げたジムニーはローダウン系ではなくリフトアップ系です。開発スタッフに話を聞いてみました。
「会場にはメルセデス・ベンツ『Gクラス』を模したジムニーカスタムが多かったのですが、ウチは先々代ジムニーのイメージを出したかったこともあって、オフロードの香りがするような街乗りカスタムにしました。
オートサロンでは非常に好評でしたし、なかでも女性のお客さまからの反響が多かったのには驚きました。おそらく、キャンプやアウトドアファッションといったムーブメントに支えられてオフロードテイストが受けているのではないでしょうか。
弊社はこれまでVIP系やワゴン系のカスタムを中心におこなってきましたが、オフロード系に興味を持つお客さまはこれまでと雰囲気が明らかに違っており、ファッションに敏感な人が多いと感じました」
さらに会場には、いま販売絶好調のトヨタ「RAV4」のカスタムも多く展示されていました。RAV4の生産を担当している豊田自動織機が“救助隊ルック”のコンセプトカーを出展したほか、モータースポーツのイメージの強いTRDもオフロード系カスタムのRAV4を出展しています。
TRDの関係者によれば、クルマが趣味の目的ではないアウトドア系のユーザーにも、十分にアピールできたのではと手応えを語っていました。
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