ペダルの踏み違い事故は本当に増えている? トラブル抑止の対処方法とは
近年、ニュースなどで報道されることの多い「ペダルの踏み間違いによる事故」。なかでも高齢者による事故が多発している印象を受けますが、実態はどうなっているのでしょうか。
増加が予想されるブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故
連日報道される高齢ドライバーによる交通事故。なかでも2019年4月に発生した東京都・池袋の暴走死傷事故は社会に衝撃を与えました。高齢ドライバーのペダル踏み間違いによる事故を防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか。
2019年4月に、東京都池袋で発生した乗用車の暴走死傷事故では、当時87歳の男性が運転する乗用車が暴走し、多重衝突事故を起こした反動で交差点内の横断歩道に突っ込み、母子2人が死亡、乗用車を運転していた男性を含む10人が負傷しました。
7か月後の2019年11月、警視庁は事故の原因とブレーキとアクセルの踏み間違いと断定し、乗用車を運転していた男性を自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で書類送検しています。
高齢ドライバーのペダル踏み間違いによる事故は、その後もニュースなどで報道されており、高齢ドライバーによる事故が増えているような印象はないでしょうか。
交通事故の調査研究や分析などをおこなう交通事故総合分析センター「ITARDA」(イタルダ)が、2018年2月に発行した交通事故分析レポート「アクセルとブレーキペダルの踏み間違い事故」によると、ペダルの踏み間違いなど操作不適による事故の年齢層別の割合は75歳以上がもっとも多くなっていますが、これは10年前の比率から大きく変わっていませんでした。
しかし、2006年に941万1000人だった65歳以上の4輪免許保持者は、10年後の2016年には1706万3000人と約2倍に増えていることが同レポートで示されており、今後もこの傾向が続くとして、ITARDAはペダル踏み間違いによる事故件数の増加を懸念しています。
レポートでは、ペダルの踏み間違いが原因とされる事故は、年齢層に関わらず「単路」でもっとも多く発生しているものの、駐車場などの「一般交通の場所」については、65歳未満の非高齢者ではもっとも事故件数が少ない場所となっている一方、65歳以上では2番目に事故件数が多い場所です。
これは、ペダルを踏み替える回数が多くなったり、後方確認などで身体をひねることのある駐車場などにおいて、加齢による視覚機能や注意力、集中力の低下、身体能力の低下などが複合的に重なることで、運転操作に影響を与えていることが要因として挙げられているようです。
そして、危険を認知して回避行動をとる際に慌てたりパニックに陥ることで、事故に発展している恐れがあるとしています。
ペダルの踏み間違いについて、ITARDAの担当者は次のように語ります。
「ペダルを踏み間違える要因はひとつではなく、複合的な要素が重なって発生しています。
意図しない挙動になることでパニック状態に陥り、誤操作をしていることを認識できなくなって事故にいたることもあるため、たとえペダルを踏み間違えても、パニックにならないような心構えを持つことが重要です。
また、急発進抑制機能を持つサポカーを使うことや、先ごろ国土交通省が認定を発表した、後付けのペダル踏み間違い防止装置を導入するのも有効と考えられます」
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ペダルの踏み間違いによる事故は、高齢者の割合が多いとはいえ、免許を持つすべての年齢層で発生しています。「自分は大丈夫」と過信せず、油断しないことが大切です。
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