プリウスやアクアが廃止される!? 存在意義が薄れるハイブリッド専用車の価値

ハイブリッド専用車「プリウス」「アクア」の役目は終わった?

 新型ヤリスがハイブリッド車を設定したことにより、アクアを廃止する話は出ていませんが、クルマの性格は重複しています。

 両車ともに運転感覚が少しスポーティで、後席と荷室は狭いです。そしてハイブリッドシステムやプラットフォームは、新型ヤリスのハイブリッド車の方が新しいです。

 そうなると新型ヤリスが登場した現在では、2011年に発売されたアクアを買うメリットは見当たりません。機能的には、新型ヤリスは、ヴィッツとアクアの後継車種といえるのです。

ハイブリッド車が当たり前となった時代。 専用車の存在意義は薄まる一方なのか。
ハイブリッド車が当たり前となった時代。 専用車の存在意義は薄まる一方なのか。

 プリウスにはハイブリッドの草分けという知名度があり、後席の足元空間は、カローラスポーツやカローラ/カローラツーリングのハイブリッド車よりも少し広いです。

 それでも実用性に大差はなく、居住空間や荷室容量を重視するのであれば、シエンタのハイブリッド車を選ぶ方法もあります。

 個性的な外観を求めるなら、C-HRのハイブリッド車も用意されています。プリウスがいまの状態を保つなら、必要不可欠のバリエーションとはいえません。

 そしてトヨタは、2020年5月から国内の全店で全車を売るようになり、車種数も半減する方針を打ち出しています。

 廃止されるおもな車種は、販売系列のために用意された「アルファード/ヴェルファイア」、「ヴォクシー/ノア/エスクァイア」のような姉妹車ですが、売れ行き次第では、アクアやプリウスも廃止される可能性もあるのです。

 トヨタの主要車種にハイブリッドが設定され、いわば普通のメカニズムになると、もはやハイブリッド専用車を用意する必要はありません。

 仮にアクアやプリウスを残すのであれば、ハイブリッドのスペシャルティカーに仕上げる方法があります。後席の居住性や積載性を重視するニーズはほかの車種に任せ、アクアとプリウスは、燃費、走行性能、ボディスタイルに特化させるわけです。

 せめてプリウスは、ハイブリッド車の源流としてラインナップを続けて欲しいと思いますが、その余裕を持つのは難しいかも知れません。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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