トヨタ「カムリ」は脱おやじセダンに成功か!? 誕生から40年の変化とは
1980年に「セリカ カムリ」の名で登場したトヨタ「カムリ」。2代目から前輪駆動で室内の広さを売りにした「カムリ」となり進化を続けました。そして、誕生から40年を経て、最新の10代目ではどんな進化があったのでしょうか。
国内では地味? しかし北米では高い人気を誇る「カムリ」
1980年、トヨタはオーソドックスなミドルクラスの4ドアセダン「セリカ カムリ」を発売しました。
当時、販売増を狙って店舗の多チャンネル化を進めていたトヨタにおいて、カムリは多くの販売台数を誇る「カローラ」の上級車への乗り換え需要や、カローラ系列店で販売されていたスポーティーカー「セリカ」ユーザーが、年齢と共にセダンへの乗り換えが増えていくため、店舗につなぎとめるための車種といわれていました。
初代はFRで、2代目からはFF化され「ビスタ」の兄弟車となります。広い室内が特長のトヨタを代表するミドルクラスのセダンとなり、以降はモデルチェンジを繰り返すことで輸出先の北米市場では人気車種となりました。
そして、2017年に登場した現行モデルの10代目は、高級かつスポーティなセダンとして販売されています。
誕生から40年経った「カムリ」にはどんな変化があったのでしょうか。そこで、初代と最新モデルを紹介します。
●4ドア版「セリカ」として生まれた初代「セリカ カムリ」
1980年に登場したセリカ カムリは、当時の「コロナ」や「カリーナ」と同じ1.6リッターと1.8リッターの直列4気筒OHVエンジンを搭載した、FR駆動のミドルクラスのセダンとして発売されました。
ボディサイズは全長4445mm×全幅1645mm×全高1390mmと、いまとなってはコンパクトセダンのようなサイズです。
基本コンポーネントはトヨタ店系列で販売されていた2代目「カリーナ」の流用でしたが、カローラ店系列で販売されていた「セリカ」と共通のデザインを採用したホイールや、「セリカXX」に似た「T」の文字をイメージしたフロントグリルなどで、セリカの4ドア版であることをアピール。
実際にコンセプトは都市型のスポーティセダンとなっていました。
しかし、当時のセリカはDOHCエンジンを搭載した高性能モデルだったのに対し、カムリはセリカの名前を冠しているのに実用車向けのOHVエンジンしか用意されず、スポーティとはいいがたい状態でした。
そこで、発売から数か月遅れて「セリカ2000GT」と同じ最高出力135馬力の2リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載し、スポーツドライビング用に強化された4輪独立懸架サスペンションと4輪ディスクブレーキを備えた「セリカ カムリ2000GT」が追加されました。
トヨタも「トヨタ2000GT」と比べる広告展開をおこない「4ドアスポーツの真髄」とまで謳ったほどです。なお、セリカ カムリ2000GTは販売期間が2年弱と台数も少ないために、現在では非常に希少なクルマです。
その後、前述のとおり2代目以降はFF化され上級サルーンへと変わりましたが、同時期のセリカや2代目「MR2」と同じトヨタのスポーティエンジン「3S-G型」を搭載するグレードも設定され、「GT」のネーミングが与えられていました。
●スタイリッシュでスポーティさが強調された10代目
2017年に登場した10代目カムリは、トヨタブランドのFFセダンで最上級モデルです。重心高を下げることで、同乗者にもやさしい横揺れの少ない乗り心地と、安定した高速走行を叶えるとともに、スポーティな走りを予感させるスタイリングに生まれ変わりました。
デザインの特徴としては、フロントフェイスにトヨタのデザインコンセプトである「キーンルック」が採用され、大きな開口部があるバンパーとなっています。
ボディサイズは全長4885mm×全幅1840mm×全高1445mmと、主戦場の北米を意識して大柄ですが、この大きさを上手に利用した伸びやかで流麗なフォルムは、美しさを感じさせます。
パワーユニットは全グレードがハイブリッドとなっており、エンジンは2.5リッター直列4気筒DOHC直噴エンジンで、バルブの開閉タイミングを最適制御する「VVT-iE」を採用。最高出力178馬力と最大熱効率41%に達する燃費低を高次元で両立しています。
ハイブリッドシステム「THS II」には最高出力120馬力の「3NM」型モーターが組み合わされ、システム出力は211馬力を誇り、JC08モード燃費33.4km/Lの低燃費(グレード「X」)を達成しています。
また、「レーダークルーズコントロール」、「プリクラッシュセーフティ」、「レーンディパーチャーアラート」、「オートマチックハイビーム」などの4つの先進安全装備を備え、安心かつ安全な上級セダンとなりました。
そして、2018年8月には「WS」グレードが追加されました。フロントフェイスのデザインが大きく変化し、よりスポーティな装いとなっています。
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初代と最新モデルのカムリは40年もの隔たりがあり、当然のように動力性能や環境性能、安全性が飛躍的に進化しています。
一方で、「都市型スポーティセダン」という初代のコンセプトは、上手く引き継がれているのではないでしょうか。
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