【なぜ放置? 全国にある殺人踏切】危険性高くても対策されない「第4種踏切」とは
遮断器も警報機も無い踏切は、踏切を渡る判断を通行する人の確認に委ねる危険なものです。徐々に数を減らしつつあるものの、未だ全国に点在しており、事故も発生しています。危険な踏切の対策が進まないのはなぜなのでしょうか。
佐賀県に危険な踏切がある!
全国各地に点在する踏切ですが、なかには遮断器や警報機がないタイプの踏切も存在するといいます。そのような場所では、どのような安全対策が施されているのでしょうか。
2018年6月、踏切で乗用車が列車と衝突し、乗用車を運転していた29歳の女性が亡くなりました。
事故があった佐賀県小城(おぎ)市にある於保(おほ)踏切は、JR長崎本線の複線区間で、ピーク時には5分に1本のペースで列車が通ります。しかし、現場の踏切は警報機も遮断機も設置されていない第4種踏切といわれるものです。
この事故は地元のメディアで報じられただけでなく、全国のメディアでも特集が組まれるなどし、当時の話題となりました。
於保踏切では1997年以降、クルマやバイクが関係する事故が3件起きています。JR九州は、道路を管理する小城市に廃止などを要請していましたが、これまで対策は取られませんでした。
周囲を田畑に囲まれた現場では、農業用車両の移動や、住民の往来に踏切が欠かせないという、地元住民の意向があったようです。
事故後の対策などについて、小城市役所総合戦略課の担当者は次のように話します。
――事故後の対応を教えてください
緊急対策として、踏切直前の道路にポールを立て、クルマが通行できないようにしました。
――農業用車両の通行のため、農繁期にはポールは取り外されるのでしょうか
取り外しできるものですが、現在までに取り外したことはないようです。
――現状は緊急の対策とのことですが、抜本的な対策は検討されているのでしょうか
事故のあった踏切については、廃止の方向で地域住民やJR九州と協議を進めています。
事故現場から少し離れた踏切には警報機も遮断器もあるため、迂回路の設置も検討しましたが、間に水路があるほか、進入路を確保するための用地買収なども必要になり、費用が高額になることから導入は難しいことがわかりました。
――地域住民からは反対の声もあるのでしょうか
これまで使えていたものが使えなくなることに、抵抗を感じる方はいらっしゃいます。
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運輸安全委員会の報告書では於保踏切について、通過する列車の速度が高速で鉄道交通量も多く、複線区間にあるため踏切長が長く、事故の危険性が高い踏切としており、具体的な取組を実施することが必要とまとめています。
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