【同じ場所で1週間に二度も死亡事故?】全国各地に点在する信号機の無い交差点事情とは

全国各地に点在する事故の多い交差点。今回は、そのなかでも短期間に渡り死亡事故が発生した宮城県の交差点を例として、全国の交差点事情を紹介します。

なぜ短期間で二度も死亡事故が発生?

 全国各地には、事故が多発する交差点が点在しています。事故が多発する交差点には、どのよう状況かつ対策がおこなわれているのでしょうか。

事故が多発しそうな大きな交差点のイメージ
事故が多発しそうな大きな交差点のイメージ

 毎年、日本損害保険協会は「全国交通事故多発交差点マップ」というデータを発表しています。このデータは、全国地方新聞社連合会および警察庁の協力のもとに作成しているものです。

 2018年版のワースト10には、大阪府や福岡県の交差点がランクイン。このデータは、2018年での人身事故が多発した件数順に選出されています。上位の交差点に共通する特徴としては、バイパスや駅周辺など人や交通量が多く、道路の構造が複雑なことが事故が多発する要因だといいます。

 そんななか、宮城県名取市高柳山神にある交差点で2019年10月、立て続けに事故が発生しました。県道と市道が交わるこの交差点は、県道側に歩行者横断用の信号機は設置されていましたが、市道側に信号機は設置されていません。

 事故の詳細としては、2019年10月8日に同交差点で、市道を走行していた軽ワゴン車と、県道を走行していたワゴン車が出合い頭に衝突し、軽ワゴン車を運転していた81歳の男性が搬送先の病院で亡くなりました。

 この交差点では、7日前の10月1日にも、クルマ3台が出合い頭に衝突し1人が死亡、4人が重軽傷を負う事故が発生しています。

 短期間で二度の事故が発生し、2人が犠牲になったこの交差点は、県道側に歩行者用の押しボタン式信号機が設置されていますが、事故が発生した当時、市道側は一時停止の標識のみで信号機は設置されていませんでした。なぜ、この市道側には信号機が設置されていなかったのでしょうか。

 死亡事故が立て続けに発生したことや、事故後の対応について、宮城県警察本部は次のように話します。

――10月初旬に続けて事故が発生した交差点について、その後の対応を教えてください

 重大な事案として認識しており、同様の事故の再発防止のため、10月10日に宮城県、名取市、県警の三者で緊急の防止策を協議しました。

 その後、緊急の応急措置として、標識の大型化とLED化で視認性を高めたほか、交差点の着色舗装、交差点あり標識の設置、「とまれ」の交差点路面標示を施すなどの対策を11月前半までに完了させています。緊急対策後は、同様の事故は発生していません。

――現在の対策は応急措置とのことですが、信号機の設置は難しいのでしょうか。

 事故を受けて、現在は信号機設置の必要性について検証段階にあります。東日本大震災で被害を受けた閖上(ゆりあげ)地区に通ずる県道側は、復興の過程で交通量に流動性があり、状況に合わせた対応が必要です。

 ただ、信号機の設置には歩行者の滞留場所を確保する必要があるだけでなく、電源の引き込みが必要なほか、支柱の設置などで道路の改良工事を伴う場合もあるなど、容易とはいい難いです。

※ ※ ※

 信号機は必要な箇所に設置されるよう基準が設けられていますが、必要性が認められたからといって、すぐに設置できるものではありません。

 今回、取り上げた事故は、いずれも市道側のクルマが一時停止しなかったことが原因とみられています。信号機が設置されていたら防げた事故かもしれませんが、信号機がなくても標識を視認して一時停止していれば、防げていたかもしれない事故だともいえます。

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