小さくたってアウディ・クオリティ! 2代目に進化した新型「A1スポーツバック」35TFSIの実力とは
尖ったところがなく、どんな人でも付き合いやすいクルマ
新型アウディA1の走りは、そのコクピットのイメージほどスポーティではありません。とはいっても、すっきりしてクセのないハンドリングは誰にでも扱いやすく好感が持てます。
操舵力はアウディらしく軽めです。それでも過敏なところはなく、ハンドル角に比例した反応で、直進付近の微小操舵からカーブで深く切り込んだところまで扱いやすいです。それはリアのグリップがしっかりしていて常時高い安定感を出しているからです。
剛性感の高いボディ骨格を持ち、しっかりしたサスペンションとタイヤによって、ワインディングロードでもふらつきを感じない安定したコーナリングが可能です。リアはシンプルなトレーリングアームのサスペンションですが、十分によい仕事をしています。
今回は、箱根の山道をメインに試乗しましたが、室内に侵入してくる走行音は、コンパクトカーとして静かな部類に属すると思いました。タイヤのパターンノイズや低音のロードノイズなども気になりませんでした。
なお、今回試乗したモデルが履いていたタイヤは、ブリヂストン・トランザT005の215/45R17 91W XLです。
左右に白線がある車線を走ると、白線に近づくとはみ出さないようにADASが働き、ハンドルを自動修正します。最新のシステムを搭載したモデルでは標準的な作動ですが、白線から跳ね返るように反発するように動くクルマが多いなか、A1のこの作動は優しい動きで、ドライバーを脅かさないので感心しました。
もう一台アドバンスドより26万円高い、A1「35 TFSI Sライン」にも乗ることができました。
Sラインはバネ/ダンパー/アンチロールバーを強化した「スポーツサスペンション」を組み込んでいます。ただし車高はアドバンスドと同じです。
また、Sラインはスポーツシートになっています。Sラインにインテリアプラスパッケージのオプションを選ぶと、そのスポーツシートの表皮も変わります。つまり35 TFSIには3種類のシートがあることになります。このパッケージの目玉は、ハンドルの裏側にパドルシフトが付くことです。ワインディングロードを気持ちよく走るときには必要なアイテムです。
Sラインでは、ハンドルの応答性がさらにリニアになりました。とくに微小舵で速めの操舵をするとよくわかります。サスペンションが固められたことにより、ロール角が抑えられダイレクトな反応になったためです。アドバンスドよりもSラインのほうがスポーティといえます。
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新型A1スポーツバックに乗って意外だったのは、パーキングブレーキが昔ながらのレバー式ハンドブレーキだったことです。
バーチャルコクピットを採用するなど、アウディの上級車種と同等の装備を持っているのに、ここだけは惜しい、という印象です。ACCなど全速度域のコントロールをしようとすると電動パーキングブレーキにするモデルが多いなか、ここだけはモダンになりきれなかったようです。
新しいA1は、良い意味で尖ったところがないクルマです。悪いクセがないということで優等生なのですが、誰にでも付き合いやすいクルマといえます。ビギナーやベテラン、男性、女性、そしてゆっくり走る人や速く走る人からも文句が出ないでしょう。
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