なぜ中国車にはパクリが多い? モラルや文化だけじゃない理由とは
合弁制度による海外技術の導入
中国のモーターショーなどを見ると、たとえばホンダのクルマが展示してあるブースが複数あることに気がつきます。
そのひとつは、グローバルブランドとしての「ホンダ」ブースですが、より多くのクルマが並べられているのは、「広汽ホンダ」や「東風ホンダ」のブースです。

これは中国の自動車メーカーである広州汽車および東風汽車とホンダの合弁企業によるブースを意味します。
中国では、これまで国内で自動車を販売する外資系企業には、国内企業と合弁企業を設立し、合弁企業によって生産、販売することを義務付けてきました。
もし合弁企業を設立せずに輸入車として販売すると、25%という高額な関税がかかることになります。そのため、ホンダやトヨタ、VWやGMといった日欧米の大手自動車メーカーは、圧倒的な中国国内市場を見据え、中国自動車メーカーと組んで中国でクルマを生産・販売しています。
中国がこのような制度を採用しているのは、当然、自国の自動車メーカーの技術力向上が目的であり、ひいては国力を強化するためです。
つまり、中国政府は、いまや世界最大となった自国の市場を提供することと引き換えに、世界中の自動車メーカーの技術やデザインを吸収しているといえます。
なお、欧米のメーカーと組む合弁企業のなかには、独自ブランドの車種を別に生産している企業も存在する状況です。
なかには技術流出を恐れて、合弁企業では旧モデルの生産・販売しかおこなわないというメーカーもありますが、多くの自動車メーカーは、リスクとメリットを天秤にかけたうえで、中国でビジネスをおこなっているといえます。
おそらく、「パクリ」が訴訟問題に発展しない要因のひとつには、自らも参戦している「中国市場」という大きな果実の前では、それほど大した問題ではないという各自動車メーカーの判断もあるのかもしれません。
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中国政府の後押しを受けて、中国の自動車メーカーの技術力も向上してきました。その結果、合弁制度や関税政策にも緩和が見られつつあります。
そういった意味では、今後「パクリ」といわれるようなクルマは少なくなることが予想されます。しかし、中国の自動車メーカーがグローバルレベルの技術力を備えたとき、日欧米の自動車メーカーにとってほんとうの意味で脅威となるかもしれません。
Writer: Peacock Blue K.K.
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