なぜ中国車にはパクリが多い? モラルや文化だけじゃない理由とは

合弁制度による海外技術の導入

 中国のモーターショーなどを見ると、たとえばホンダのクルマが展示してあるブースが複数あることに気がつきます。

 そのひとつは、グローバルブランドとしての「ホンダ」ブースですが、より多くのクルマが並べられているのは、「広汽ホンダ」や「東風ホンダ」のブースです。

北京汽車・BJ80=Gクラスのコピーだが、北京汽車はメルセデスと合弁しているので、合弁設立による技術流入の例。パクリというか、メルセデスもこうなることを織り込み済みで合弁している例。
北京汽車・BJ80=Gクラスのコピーだが、北京汽車はメルセデスと合弁しているので、合弁設立による技術流入の例。パクリというか、メルセデスもこうなることを織り込み済みで合弁している例。

 これは中国の自動車メーカーである広州汽車および東風汽車とホンダの合弁企業によるブースを意味します。

 中国では、これまで国内で自動車を販売する外資系企業には、国内企業と合弁企業を設立し、合弁企業によって生産、販売することを義務付けてきました。

 もし合弁企業を設立せずに輸入車として販売すると、25%という高額な関税がかかることになります。そのため、ホンダやトヨタ、VWやGMといった日欧米の大手自動車メーカーは、圧倒的な中国国内市場を見据え、中国自動車メーカーと組んで中国でクルマを生産・販売しています。

 中国がこのような制度を採用しているのは、当然、自国の自動車メーカーの技術力向上が目的であり、ひいては国力を強化するためです。

 つまり、中国政府は、いまや世界最大となった自国の市場を提供することと引き換えに、世界中の自動車メーカーの技術やデザインを吸収しているといえます。

 なお、欧米のメーカーと組む合弁企業のなかには、独自ブランドの車種を別に生産している企業も存在する状況です。

 なかには技術流出を恐れて、合弁企業では旧モデルの生産・販売しかおこなわないというメーカーもありますが、多くの自動車メーカーは、リスクとメリットを天秤にかけたうえで、中国でビジネスをおこなっているといえます。

 おそらく、「パクリ」が訴訟問題に発展しない要因のひとつには、自らも参戦している「中国市場」という大きな果実の前では、それほど大した問題ではないという各自動車メーカーの判断もあるのかもしれません。

※ ※ ※

 中国政府の後押しを受けて、中国の自動車メーカーの技術力も向上してきました。その結果、合弁制度や関税政策にも緩和が見られつつあります。

 そういった意味では、今後「パクリ」といわれるようなクルマは少なくなることが予想されます。しかし、中国の自動車メーカーがグローバルレベルの技術力を備えたとき、日欧米の自動車メーカーにとってほんとうの意味で脅威となるかもしれません。

■【画像】似てる? 似てない? 中国のパクリ車を比べてみる!

参加無料!Amazonギフト券贈呈 自動車DXサミット BYD登壇 最新事例を紹介(外部リンク)

画像ギャラリー

Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

1 2

実績500万人超!お得に車売却(外部リンク)

新車不足で人気沸騰!欲しい車を中古車で探す

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る

【2025年最新】自動車保険満足度ランキング

最新記事

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー