街乗りだけでは車もメタボに? 実は怖い車の運動不足 クルマは高速走行も必要な理由とは

人と同じように、クルマの調子をよくするためには、定期的な整備のほかに「適度な運動」が必要だといいます。いったい、どういうことなのでしょうか。

クルマも人間も適度な運動が必要? 愛車をいたわるための方法とは

 普段は市街地だけを走っていたクルマが、週末に長距離ドライブをした後にエンジンの調子が良くなった、という体験をした人も多いと思います。それは、高速道路の巡航などで、エンジンに適切な負荷をかけた結果、エンジンがスムーズに回るようになったからです。

 しかし、なぜ市街地の走行が中心になると、エンジンがモサっとしてくるのでしょうか。そして、高速巡航によってエンジンが復調する理由とは、いったいなんでしょうか。

 市街地走行が中心のクルマを復調させるには
市街地走行が中心のクルマを復調させるには

 市街地走行が中心だったクルマが、高速巡航をすることで調子がよくなる原因は、適度な運動(高速巡航)によって、エンジン内部に溜まった老廃物のようなものを減らすことができたためです。

 まるで運動不足の人が、久々にジムやサウナに行って大汗をかくと体が軽く気持ちよくなるのと似たようにも見えます。

 反対に、クルマにまつわる「あるある話」として、「エンジンは低回転ばかり使っていると、吹け上がりが悪くなる」というものがありますが、これも本当のことです。

 栃木県・宇都宮市の自動車整備工場「秀自動車」で整備士を務める高島氏に話を聞くと、「高速巡航することで、エンジン内に残っていた『カーボンデポジット』がある程度燃焼されることが期待できます」と説明します。

「カーボンデポジット」とは、エンジンに多くの空気を取り込めないので燃料と空気の混合物が燃え切らない(不完全燃焼)ときに発生するススのことをいいます。

 市街地走行が中心となってエンジンの回転数が低い状態が続くと、まるで血液中の中性脂肪のようにカーボンデポジットが溜まっていき、堆積しすぎるとエンジンの燃焼効率が悪化して本来の性能が発揮できなくなってしまうのです。

 また、そもそも人間には骨と筋肉があるように、エンジンにはブロックとピストンなどの金属パーツがあり、適度な負荷をかけて使う(運動や走行)ことで円滑に体もエンジンも動くようになります。

 かつて必要とされていたクルマの「ならし運転」も、この考え方に基づいた運転法で、エンジンがスムーズに回るようにするため、少しずつ負荷を増やしていきます。

 現代のクルマでは基本的にならし運転は不必要といわれることが多いものの、それでも、あまりにも負荷をかけすぎない運転は、クルマにとってベストとはいえません。

※ ※ ※

 市街地走行が中心となる場合、運転している本人は、おとなしく走って愛車をいたわっているつもりでも、じつはエンジン内部に中性脂肪を溜め込む「エンジンの運動不足」状態を引き起こしている可能性が高いです。

 もしも、高速巡航でエンジンの復調が体感できない場合は、古くなったエンジンオイルの交換などが対処法として挙げられますが、チョイ乗りが続いているクルマの場合、まずは一定以上の回転数を保ちながらエンジンに適切な負荷をかけることがよいようです。

 また、高島氏は「一定の速度で走行することで、ミッションオイルや冷却系、サスペンションも適正温度となり、かつタイヤも熱が入るので内圧が上がりグリップ力も高まると思います。

 冷却系も、新鮮な風(空気)が取り込まれないと負荷がかかることがあるので、できるだけ走ってあげることも大切です」と説明します。

 まるで人間のようですが、クルマも適度な運動(走行)を継続することが、調子のよい状態を保つ秘訣といえそうです。

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