おしゃれなオープンカーやバギーがあった!? ダイハツの名車珍車5選

ダイハツは112年もの長い歴史を持つ自動車メーカーです。いまは主に軽自動車とコンパクトカーを製造するメーカーですが、これまで数々の名車や珍車を世に出してきました。そこで、歴代ダイハツ車のなかから、とくにユニークなモデルを5車種ピックアップして紹介します。

ダイハツが作った面白いクルマを紹介!

 ダイハツの歴史は、輸入に頼っていたエンジンを国産化するべく学者や技術者が中心となった産学連携で、1907年にスタート。

ボディ形状の割にオフロード走行は苦手だった「フェロー・バギィ」
ボディ形状の割にオフロード走行は苦手だった「フェロー・バギィ」

 大阪で「発動機製造株式会社」として発足すると、1930年にエンジンメーカーから自動車メーカーへ転換し、大阪の「大」と発動機製造の「発」を組み合わせた『ダイハツ』をブランド名としました。

 後に社名をダイハツとすると、「ミゼット」をはじめ数々のクルマを世に出し、現在に至ります。

 いまでは軽自動車と小型車を主に製造するダイハツですが、これまでユニークなクルマも作ってきました。そこで、歴代ダイハツ車のなかから、名車、珍車を5車種ピックアップして紹介します。

●コンパーノ・スパイダー

日本車離れしたデザインの「コンパーノ・スパイダー」
日本車離れしたデザインの「コンパーノ・スパイダー」

 1960年代の初め、ダイハツがトヨタグループに加わる前、オート三輪市場で東洋工業(現マツダ)とトップの座を競い合っていました。

 そうしたなか、1963年にダイハツの4輪車である「コンパーノ」を発売し、乗用車市場に進出しました。

 コンパーノはイタリアのカロッツェリア・ヴィニャーレによる美しいデザインのコンパクトカーで、ライトバン、ワゴン、そして「ベルリーナ」と名づけられたセダン(初期モデルは2ドアのみ)を順次発売し、上級グレードでは木目パネルやウッドステアリングを備えるなどイタリアンテイストを醸し出していました。

 他社が軽量化のためにモノコックボディを採用するなか、小型商用車のラダーフレームをベースに流用する手法を採ったために重量増となり、800ccの直列4気筒OHVエンジンでは非力で、動力性能の評価は高くありませんでした。

 一方、ラダーフレームとしたことでボディ架装の自由度が高く、1965年にはツインキャブを装着した1リッターエンジンを搭載する2ドアコンバーチブル「コンパーノ・スパイダー」を発売しました。

 同じくオープンカーだったホンダ「S600」や、デタッチャブルトップを持つトヨタ「スポーツ800」が2名乗車のスポーツカーであったのに対し、コンパーノ・スパイダーは4名乗車が可能だったことから、家族でドライブをするニーズも満たすオープンカーでした。

 しかし、販売的には成功せず、1968年に生産を終了しました。

●フェロー・バギィ

とても市販車とは思えない「フェロー・バギィ」
とても市販車とは思えない「フェロー・バギィ」

 1966年に登場した初代「フェロー」は、日本車で初めて角型ヘッドライトを採用し、サスペンションが4輪独立懸架となるなど、先進性をアピールした軽自動車です。

 ボディタイプは2ドアセダンと商用車の3ドアバン、ピックアップトラックがラインナップされており、このトラックをベースにダイハツは、1968年開催の第15回東京モーターショーに「フェロー・バギィ」の試作車を参考出品しました。

 フェロー・バギィは「フェローピックアップ」のシャシをベースに強化プラスチック製のボディが架装され、ドアを持たないバスタブ形のキャビンとなっていました。

 乗降時はボディをまたいで乗り降りすることや、ロールバーとグリルガードが装備されており、いかにもバギーなデザインは当時の日本でかなり斬新でした。

 エンジンは26馬力を発揮する360cc2気筒2サイクルをフロントに搭載し、リアを駆動。車重はわずか440kgで、最高速度は95km/hとなっていました。

 フェロー・バギィは1970年に100台限定で発売され、2名分のシートの後ろに150kg積載可能な荷台があり、登録上は軽トラック(軽商用車)となっていました。

 見た目は砂地を走るデューンバギーですが、10インチタイヤで最低地上高が高くないことや、ギアレシオもオフロード用に最適化されていなかったため悪路走破性は高くなく、手軽にバギーの雰囲気を味わいたいレジャー用のクルマでした。

●リーザスパイダー

かなり強引なデザインだったバブルの申し子「リーザスパイダー」
かなり強引なデザインだったバブルの申し子「リーザスパイダー」

 1986年にデビューした「リーザ」は、軽自動車クラスのスペシャリティカーとして唯一の存在だったスズキ「セルボ」の対抗馬として開発されました。

 全高を低くしたクーペスタイルで、当時、人気アイドルだった早見優をCMキャラクターに起用するなど、若い女性をターゲットにしていました。

 そして、バブル景気末期の1991年に、2シーターオープンの「リーザスパイダー」が発売。軽自動車規格の変更で660ccになったリーザをベースとして、ルーフをカットして幌型とした2シーターオープンカーとなっていました。

 リーザはオープンカーを想定したデザインではなく、かなり無理矢理感があり、リーザスパイダーは決して美しいクルマとはいえませんでした。

 また、オープン化にともなってボディ強度と剛性確保のために、シャシ各部に補強部材を追加した結果、重量が増え、エンジンは64馬力の3気筒ターボのみとなっていました。

 価格は145万3000円(5速MT)からとかなり高額で、販売面ではまったく振るわず、いまではレア度が相当高いモデルです。

 発売から逆算すると、リーザスパイダーの開発はバブル景気の真っ只中だったはずですから、まさに時代が生んだクルマではないでしょうか。

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